総額だけではわからない、住宅購入のポイント
住宅を購入するにあたり、やはり税金など、お金の面が気になるところ。引き続き、田中氏に話をうかがった。
――2014年4月から、消費税が増税されると言われています。金利などを含め、いま購入するのはお得と言えますか?
田中氏「住宅を購入するタイミングは、人によって異なります。結婚したり、子どもが生まれたりするなど、個々によって『買い時』は異なるでしょう。様々な要素があっての住宅購入ですから、一概に『今がお得』と申し上げられません。
ただ、増税前のタイミングで購入するなら、先ほどもお話しした通り、すぐにでも情報収集をはじめるべきだと思います。土地探しや業者の選定には調査などの時間が必要ですし、現場見学など、住宅の購入計画には時間に余裕を持って進めたいところです。
実はいま、不景気なのでローン金利も低く、住宅ローン減税も適用されるなど、さまざまな住宅補助制度が充実しています。これは、内需を拡大させたいという政府の意向があるからです。ですので、住宅を購入する良いタイミングとは考えられそうです。
●主な住宅税制について 平成24(2012)年度改正
税制 | 税の種類 | 減税措置 |
---|---|---|
住宅ローン減税 | 所得税(国税)、個人住民税(地方税) | 住宅の新築、取得又は増改築等をした場合、10年間、住宅ローン等の年末残高の1.0%(長期優良住宅については1.2%または1.0%)を所得税額から控除 |
長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除 | 所得税(国税) | 長期優良住宅を居住用に新築した場合、標準的な性能強化費用相当額(500万円を上限)の10%相当額を、その年分の所得税額から控除。当該控除をしてもなお控除しきれない金額がある場合には、翌年分の所得税額から控除。 |
新築住宅に係る減額 | 固定資産税(市町村税) | 120平方メートル相当部分について1/2に減額(期間)・一般住宅:当初3年間・中高層耐火住宅:当初5年 |
住宅用地に係る課税標準の特例 | 都市計画税(市町村税) | 住宅用地の課税標準を2/3に減額する。 |
※適用要件など、詳細はそれぞれ異なるため、国土交通省のホームページを参照のこと。
――これから住宅を購入しようと考えている方に、アドバイスをお願いします。
田中氏「住宅を購入するときには、自分の希望をハウスメーカーや工務店にはっきり伝えてください。イメージを伝えるには、写真などを用意しておくといいでしょう。
その際、趣味やライフスタイルなども話し、その希望に応じた提案をしてくれるような会社を選ぶといいですね。コスト減について相談するときにも、耐震性や省エネ性など、不明なところを明確にして、必要なことをしっかり教えてくれるところがいいでしょう。
また、広告で目にする『坪単価●●円』という表示にとらわれてしまうと、住宅購入は失敗します。坪単価や初期費用だけでとらえるのではなく、何世代にもわたって住むことができるといったことなどを新築時から取り壊しまでの住宅のライフサイクルコストに注目されて、判断されることも必要だと思います。
たとえば、1,500万円の住宅を購入しても、数年ごとに補修費用が発生すれば、住宅にかかる総額は大きくなってしまいます。一方、3,000万円の住宅でも、20年以上リフォームの必要がなく、子どもが引き継いで住むことができれば、決して高いとは言えないのではないでしょうか」
●一般的な住宅購入の流れ まとめ
1.ライフプランを考え、どのような暮らしを実現したいか検討する
2.希望居住地(エリア)を選ぶ
3.施工会社を選定する
4.ローン契約
(建築開始)
5.引き渡し
耐震性を確保しつつ、希望をかなえる住宅を購入することは、難しいといわれてきた。しかし現在では、この2つを両立することが可能である。夢のマイホームを手に入れることは、不可能ではなくなったのだ。
また、住宅購入に際しては、ライフスタイルを考慮することが重要であることもわかった。現在だけではなく、未来のライフプランを考えながら、いっしょに「家づくり」をしてくれる施工会社を選びたい。