アプリのデザインがLINEのように女性ウケするかわいいデザインではなかったからか。それともスタンプの存在が大きかったのか。

どちらも理由の一つではあるが、それだけではない。

まず、Viberについては簡単だ。アプリ内のテキストが日本語化されていなかったのである。英語に抵抗のない一部の層はさておき、これでは一般層に浸透させるのはまず不可能だ。

電話番号での認証やアドレス帳を使った友だちリストの作成など、LINEの長所となった部分をすでに備えていたことを思えば、非常にもったいなかったといえる。ちなみにViberが日本語化したのは2012年7月のこと。日本語化があと1年早ければまた状況は変わっていたかもしれない。

一方のカカオトークについては機能面でもLINEと遜色なく、日本語対応もしっかりなされていた(というよりも後発のLINEがカカオトークをかなり意識して設計されている)。

強いて挙げるなら、日本におけるプロモーションのスピードがほんの少しだけLINEより遅かったことだろうか。カカオトーク誕生自体は2010年3月だが、日本に現地法人カカオジャパンを設立して本格参入したのは2011年7月と、LINEのリリース直後のことだった。

2012年10月にはYahoo! Japanがカカオジャパンに50%出資し、12月にはTVCMも開始しているが、これらのプロモーションがLINEよりも先手であったならば、どうなっていたかはわからない。

最後にSkypeについては、先ほど述べたような登録の煩わしさがまず挙げられる。さらに、当たり前だが電源を落とすなどしていったんログアウトしてしまうと、バッググラウンドで動かないため通話やチャットが届かない。いちいちアプリを起動する必要があるのだ。常駐する他のVoIPに比べるとこれはかなりのハンディキャップだ。

とはいえ、SkypeはもともとPC用のソフトであり、今さらアカウント方式をやめるわけにもいかないだろう。皮肉にもPCでの大成功に縛られてしまっている形である。

さらに細かい部分だと、LINEがリリースされた2011年6月当時、3G回線でアプリをダウンロードするための20MB制限(現在は50MBに引き上げられている)にSkypeが引っかかっていたのも痛かった(LINEは20MB未満だった)。PCかWi-Fiを使ってダウンロードするしかないとなれば、それを面倒だと感じる多くのユーザーを切り捨てることになる。

勘違いしないで欲しいのは、Skypeはもちろん、Viberにしてもカカオトークにしても、世界的に見ればそれぞれ数千万人規模のユーザーを抱えており大成功をおさめているということだ。しかし、だからこそ日本市場に特化した戦略を立てられず、結果的にLINEにプロモーションで遅れを取ってしまったとも言えるのだ。