Memory(表11)

表11

Memoryのみ、他のロードマップとはちょっと異なる時間軸とさせていただいた。メモリチップベンダーそのものは大分減ったものの、メモリモジュールベンダーは相変わらず多いし、他の製品と比較するとプレスリリースが出るわけでもないので、「ある世代の製品がどこで投入されるか」を正確に予測するのが不明だからだ。その一方で、比較的先まで製品ラインナップが読みやすいという部分もあるので、今回は現在~2015年程度のTimeframeでご紹介することにしたい(Photo07)。

Photo07: まめっち前脚の魅惑(?)の肉球。おとなしくしてくれないので、微妙に被写体ぶれが。

Standard DDR3

次世代規格であるDDR4の策定が遅れた関係で、予想よりも長く使われることが明らかになった。ただそうなると、より大きな帯域を必要とするニーズに適応できなくなる。だからといって、例えばDDR3-1600の2chでは帯域が不足するから3chに増やそう、というのはそう簡単には出来ない話である。そこでより速度を上げる方向に舵を切った。

DDR3の規格はJEDECのJESD79-3 : 登録が必要)で定義されており、最新の規格はJESD79-3Fとなっているが、ここには従来までのDDR3-1600に加えてDDR3-1866とDDR3-2133が追加された。実のところ1600MHzを超えるメモリは昔から大量に存在していたが、これらは規格外のオーバークロック動作品であって、当然ながら相性問題が大量に発生した訳だが、これはまぁ致し方ないところ。ただそうしたオーバークロック対応「ではない」メモリに関しては、現時点ではまだDDR3-1600が一番高速ということになる。ちなみに標準品といっても実際には色々あって、JEDECに規格化されているものだけで以下の一覧表に示す通り21種類もある。実際にはOption扱いになっているものもあるが、これを除いても14種類である。で、現状はというとDDR3-1600の9-9-9(DDR3-1600H)とかDDR3-1600K(DDR3-1600K)が多く流通している状況だ。

さて、ということで今後の話。2013年前半にはDDR3-1866を搭載したDIMMが流通し始めるようになるだろう。既にチップメーカーはDDR3-1866に対応したDRAMチップの製造を始めているし、AMDのFXシリーズとかAPUも公式にDDR3-1866対応を謳っている。IntelのCore iシリーズは公式にはDDR3-1600どまりのサポートだが、非公式には既にDDR3-1866の対応が可能としており、次のHaswellでは公式にDDR3-1866が対応リストに加えられる模様なので、こちらの問題は少ないだろう。

ただ続くDDR3-2133に関しては、ちょっとどこまで広がるかは見えていない。DDR3-1866の場合、DRAMコアの速度は233MHz動作であり、現在の2xnmプロセスを利用したDRAMチップだと、これはそれほど難しい対応ではない。ところがDDR-2133になるとDRAMのコアの速度も266MHzまで引きあがるため、ちょっと現状の世代のDRAMチップでは難しいとされる。オーバークロック動作をさせればこれは難しくないが、その場合1.5Vでの動作は厳しいところ。一応JEDECの規格ではVdd(供給電圧)が1.425V(Min)~1.575V(Max)と規定されており、このMaxに近い1.56V程度であれば何とか動作するというのが現状である。

ただ、次のDDR4は(後述の様に)更に電圧が下がるので、DRAMベンダー各社はこれに向けて1xnmプロセスを使ったDRAM Cellの開発を進めており、これをフィードバックした上でオーバークロック動作すれば266MHzは確実に実現するとしている。これにあわせてIntel/AMD共にDDR3-2133のサポートを次(2013年~2014年)のプラットフォームで行うということで、これにあわせて2014年頃には対応モジュールがリリースされる見込みだ。

ただこのDDR3-2133に関しては広く利用されないだろう、という見解もある。というのは2014年後半からぼちぼちDDR4が立ち上がる予定だからで、2015年にはDDR3に代えてDDR4がメインになると見込まれている。なので、かつてAMDがSocket AM2でDDR2-1066をサポートした時の様に、ハイエンド向けで多少利用される程度で、それほど広くは普及しないものと思われる。

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