AMD APU(表9・10)
失速したFXシリーズに代わって健闘しているのがこちらのAPU。Huskeyベースの初代APUは、こちらも32nm SOIプロセスのYieldに足を引っ張られてかなり品不足が続き、それが理由で市場に出回らないが故にSocket FM1のプラットフォームも普及しないという悪循環が続いたが、それでも2011年末には大分解消してきた。
2012年10月には第二世代であるTrinityベースのAPUもリリースされる。CPU性能そのもので言うと、Starsコアベースの4 coreからPiledriverベースの4 core/2 Moduleということで、性能は上がっていないというよりもむしろ落ちたとも評されたが、GPUの性能が上がったことでトータルのバランスはむしろ改善した、と好評である。プラットフォームがSocket FM1からSocket FM2に変わった事でマザーボードの買いなおしが発生してしまったのはちょっと残念ではあるが。
さて、これに続く話であるが、現在の予定では2013年8月頃をめどに、次世代コアであるKaveriベースの新APUが投入される、となっている。プロセスはTSMCの28nmを利用し、SteamrollerベースのCPUとGCNベースのGPUを組み合わせた構成になる予定だ。PackageはSocket FM2がそのまま維持される模様である。Socket FM2はDDR4への対応は(LGA1150と異なり)どうも無い様だが、DDR4への移行は2014年中旬以降になると見られているから、Kaveriの次世代で十分という事なのだろう。あるいは、Socket FM2+とかが途中で投入される可能性もあるかもしれない。
目下の懸念事項は、TSMCの28nmプロセスが十分なキャパシティがあるかどうか、である。先程AMD FXのところでGLOBALFOUNDRIESの28nmプロセスの苦境をご紹介したが、GLOABLFOUNDRIESは28nmに関してはCommon Platformを採用している。要するにIBM/GLOBALFOUNDRIES/Samsungという3つのファウンダリがプロセスを共同開発しているわけで、これ以外というとTSMC/UMCとSTMicroelectronicsしか28nmプロセスを提供していない。UMCはGLOBALFOUNDRIES以上に立ち上げに苦慮しており、STMicroelectronicsはプロトタイプ作成には使えても量産には適していない。で、GLOBALFOUNDRIESが28nmの立ち上げに失敗したということは、IBM/Samsungでも立ち上げに失敗したということになる。要するに、現時点で28nmプロセスの量産がまともに出来るのはTSMCのみ、ということになる。当然プロセス微細化を必要とするアプリケーションを使うベンダーはみんなTSMCに向かうわけで、これもあってTSMCは2011年から超特急で製造キャパシティを増やしているものの、2013年の第2四半期あたりと予想されるKaveriの量産開始のタイミングでどうか? というのは今の時点では何ともいえない。幸いにも28nmプロセスそのものの学習はRadeon HD 7000シリーズで既に済ませているから、ここで大きな問題が出ることは考えにくいが、無事に量産が出来るようになるかどうかはTSMC次第ということになるだろう。
ちなみに現状、このKaveriのラインナップなどは不明である。またKaveriの量産状況も見えないので、一応現状2013年中は従来の32nm SOI製品とKaveriが共存するという形で表9をまとめさせていただいた。