NVIDIA(表19・20)

表19

表20

NVIDIAの状況もAMDと大きくは変わらない。NVIDIAの場合、TSMCの28nmプロセスを最初に使ったGK104のGeForce GTX 680が登場したのは、やや遅れて2012年3月頃である。このGK104をDualで搭載したGeForce GTX 690や、逆にシェーダの無効化や動作周波数変更などで性能と価格を下げたGeFoce GTX 670をそれぞれ4月・5月に投入したほか、同8月にはさらにメモリバスの帯域も減らしたGeForce GTX 660 Tiも追加した。一方、より小さなダイサイズのものとしてGK106とGK107の2つのコアを2012年9月に投入する。ただGK107に関してはローエンドということもあり、OEM用には前倒しで2012年4月から供給が始まっている。

ちなみにAMDはまだハイエンドのRadeon HD 7970にはGPGPU向けに倍精度浮動小数点演算をハードウェアで実装しているが、NVIDIAはGPU向け製品からは完全に倍精度浮動小数点演算を省いたものになっている。これを実装したGK110コアの製品は2012年11月にTesla K20及びTesla K20Xとして発表されたが、NVIDIAはこれをGPU向けに廻すつもりは無いようで、今後もこの路線は継承されるとみられる。

また表19・20には入れていないが、GeForce GT 640に関しては28nmプロセスを使ったもの以外に40nmプロセスのGF116のものも混じっており、しかも性能が全然違うという大変に判りにくいものになっている。OEM向けということでこれでもいいのかもしれないが、一応Renameしたとは言え型番は重複しないように配慮されたAMDと比べると、すこぶる判りにくい。これに加えて、カードメーカーによる独自オーバークロック版だの、逆に若干動作周波数を下げて電源コネクタを省いた/減らしたものなどが混在するため、実際にはものすごく沢山の構成があることに注意されたい。

さてそのNVIDIAの2013年の製品であるが、こちらも状況的にはAMDと殆ど変わらず、やはり2013年中は28nmプロセスで頑張るしかない。この2013年に投入される製品はKepler Refreshと呼ばれているが、このKepler Refreshは、

  • 構成そのものは殆ど変わっていない
  • 性能は平均10~15%向上

といった事が言われている以上の詳細な情報はない。一つ考えられるのは、NVIDIAもTSMCの28nmプロセスに習熟したことで、同じ28nmプロセスでもより効率のよい構成を取れるようになったのではないか、ということだ。かつて同社はGeForce GTX 480→GeForce GTX 580で、同じTSMC 40nmプロセスを使いながらも、省電力化と動作周波数向上を果たしている。要するに物理設計を最適化したという話であるが、今度も同じようなものになる可能性はある。一応表20はこれを反映して、シェーダの構成は同じまま動作周波数をちょっと引き上げてみたという以上のものではない。このあたりは、もう少し登場時期が近くならないと正確なところは判らない。

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