この時は、Androidスマートフォンを常時つなぎ、TwitterやWebの閲覧、アプリの更新、データ同期といった普段通りの利用を行ってたほか、3~4時間はPCも接続し、Web閲覧、メールの送受信、画像データのFTPへのアップロードといった作業を行った。YouTubeの視聴はしていないし、データ総量ではそれほど多くはないが、頻繁なデータ通信をしており、画面を点灯し続けたにもかかわらず、8時間以上バッテリが持ったのは優秀と言えるだろう。
画面をオフにする設定で、インターネット共有を継続させたところ、データ通信量が750MB、利用時間が12時間23分で、バッテリ残量は50%となった。やはりバッテリ消費に関しては優秀な結果となった。
通信速度は、場所や時間帯によってもさまざまだし、今回は「バッグの中に入れたまま使って画面を確認しない」状況でテストしたため、4G LTEエリアがどの程度か、という検証はしていない。たびたび「SpeedTest.net」アプリでテストしたところ、移動中だと、下り2~3Mbpsから、速いところでは十数Mbps程度、山手線駅では1Mbpsを切る場合もあった。電車移動中に一部不自然にデータが流れない場面もあったが、個人的には許容範囲内だ。また、4G LTEエリアの喫茶店などで停止していれば下り10Mbps以上は出ていたので、今回のような使い方では特に問題を感じなかった。とにかく、気兼ねなく使い、途中充電もせず、8時間以上動作する、というのはルーターとしても優秀だ。
省電力で利便性の高いBluetoothテザリング
前述のように、iPad miniのテザリングは、Bluetooth接続も利用できる。無線LAN機器から接続するなら無線LANを使うしかないが、一般的なスマートフォンやiPod touchなどでは、Bluetoothを使うという手もある。この場合、無線LANより低消費電力で利用できる、というのがメリットだ。
また、無線LANでのインターネット共有とは異なり、いったんインターネット共有をオンにしておけば、iPad miniがスリープ状態であっても、外部機器から接続できるという利点もある。そのため、iPad miniを自動スリープにしていても利用でき、バッテリが節約できる。
Bluetooth接続の場合、あらかじめペアリングを行っておく必要がある。iPad miniと接続したい機器の両方でBluetoothをオンにして周囲の検索を行うと、近くBluetooth機器が検索される。いずれかの端末で、その中から接続したい端末を選ぶと、ペアリングの要求が行われ、画面上に表示された数字が一致していれば、ペアリングを行えばいい。ペアリングが終わったら、あとはiPad mini側はBluetoothとインターネット共有をオンにしてスリープにしておけばいい。
接続側は、Bluetoothの設定画面から「インターネットアクセス」(Androidの場合)を選んで実行する。プロファイルとしてはPAN(Personal Area Networking)になり、そもそもPANに対応している必要がある。PCや一部のAndroid端末、iPhoneなど、各種端末が対応している。Android端末だと、対応端末が少ないのが残念なところ。
いずれにしても、PANに対応してiPad miniに接続できる端末であれば、「ペアリングを行っている」「インターネット共有をオンにしている」という2点を行っておくことで、iPad miniがスリープ状態でもインターネット共有を利用できるようになる。
無線LANテザリングの時と同じような使い方で1日過ごしたところ、10時間ほど使ってバッテリ残量は68%。やはりスリープ状態の上にBluetoothを使っていたせいか、かなりバッテリが残っていた。大容量データの送受信がなかったせいか、データ通信量は223MB程度で、無線LANの時の半分ほどだったが、それでも70%近くバッテリが残っていたのは驚きだ。
ただし、通信速度は無線LANに比べると劣る。テストはおおむね下り数百KB(3Gエリア)~1Mbps強(4G LTEエリア)といったあたり。無線LANテザリングで4.6Mbpsのところで計測すると、1.6Mbpsになるなど、やはり速度は控えめ。
それでも、テキストベースのTwitterや一般的なWebサイトの閲覧程度ではあまり差は感じない。大容量データの送受信や高画質なYouTubeの閲覧でなければ、体感的にそれほど大きな違いはなさそうだ。
2560×1440という高解像度のFuturemarkのベンチマークソフトデモ映像 をPC上で再生するテストを行ったところ、FTTH+無線LAN環境ではもちろん滑らかに再生することができた。一方、4G LTE+無線LANテザリングでは一部停止するシーンもあったほぼ問題なく再生された。4G LTE+Bluetoothテザリングでは読み込みに時間がかかって実用的ではなかった。
このように、シーンによってはスピードが足りない場合もありそうだが、そうした場合だけ無線LANでのテザリングに切り替えるというやり方はあるだろう。
今回のテストでは、iPad miniのインターネット共有機能を使ったテザリングは、十分無線LANルーターの代わりとして使えるレベルだった。特にバッテリの持続時間が長く、ルーターに専念させれば、十分1日使えることが分かった。
特にBluetoothテザリングでは、スピードは控えめながら、iPad miniがスリープ状態でも接続でき、長時間のバッテリ駆動が可能なので、丸1日で歩くような場合でも、ほとんど心配なく使えそう。むしろ、そこに接続するほかの機器のバッテリが持たないだろう。
無線LANテザリングは、インターネット共有をオンにしても、スリープ状態に入ってしまうと、外部からの接続ができない点が難点で、一度接続したら、接続を解除しないようにするか接続する度にスリープの解除を行う必要がある。しかし、速度が必要な場合は、無線LANの方が高速で、必要なときに心強い。バッテリ消費は増えるが、画面点灯状態でも10時間以上持つわけで、十分なレベル。
普段はBluetoothテザリングを使い、必要に応じて無線LANテザリングに切り替えるという使い方も良さそうだ。インターネット共有をオンにするだけで、Bluetoothと無線LANのテザリング機能が両方オンになるので、Bluetoothと無線LANの切り替えも意識する必要がない。PCだけネットにつながればいい、といった場合はケーブル接続してのUSBテザリングもありだろう。
iPad miniは、タブレットとしての用途だけでなく、無線LANルーターとしても期待通りの性能を発揮してくれる製品のようだ。