「1+1を2以下にはしたくない」 - コンバーチブルPCの構想は1年以上前から
東芝では、1年以上前から、新OSに向けてコンバーチブル型PCの商品企画をスタート。そして、約1年前には、コンバーチブル型の構造に、「dynabook R822」で採用したスライド&チルト機構を採用することを決定していたという。
「360度折り畳むという方式は、キーボードが背面にくるために、タブレットとしての使い方を犠牲にする可能性がある。また、ディスプレイ部を中央部で回転させる方式は、構造的に複数のアクションが必要になることから、使い勝手の点で見送ることになった。そして、ディスプレイ脱着式の採用についても、ノートPCとしての使い方を重視するという点で、今回の検討から外した」(横手主務)。
基本的な考え方は、「1+1を2以下にはしたくない」(横手主務)という点。ノートPCとして使用した際にも、タブレットとして使用した際にも、妥協のない環境の実現を目指したという。
「dynabookを長年に渡って利用して頂いているビジネスユーザーや学生などが、『dynabook R822』をノートPCとして利用した際にも、安心して使ってもらえることにこだわった」(東芝 デジタルプロダクツ&サービス社デジタルプロダクツ&サービス第一事業部国内企画・マーケティング部マーケティング第一担当・中村勇太氏)。
東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部コンシューマPC商品部・横手聡主務 |
東芝 デジタルプロダクツ&サービス社デジタルプロダクツ&サービス第一事業部国内企画・マーケティング部マーケティング第一担当・中村氏 |
その言葉を裏付ける事例のひとつがキーボードである。
Ultrabookに準拠していることから、キーストロークは1.2mmとなったが、キーピッチは19mmを実現し、操作性を損なっていない。バックライト付きキーボードを採用しているのも、様々な利用シーンを想定するとうれしい機能だ。
独自のスライド&チルト機構 - 3ウェイに加えて「4つめのポジション」も
「dynabook R822」で採用したスライド&チルト機構は、ノートPCの形状からディスプレイ部を倒し、そこからスライドさせてタブレットになる構造である。
ノートPCとして使用している際には、105度の位置から無段階でディスプレイの角度を調整でき、さらに180度倒したときには、「フラット」の状態で使用することもできる。フラットでは、テーブルの上に置いた際に、複数の人が同じ画面を共有して利用できる。この時、タッチパッドを指3本でタップすると、表示される画面は180度回転する。
そして、ディスプレイ部をスライドさせれば、キーボード部が隠れ、タブレットPCとして利用できるようになる。東芝ではこれを「3ウェイスタイル」と表現し、ノートPC、フラット、タブレットの3つのスタイルでの利用提案を進めている。
「ノートPC」形状の状態。これより手前側にディスプレイは倒せない |
180度倒した「フラット」形状の状態。タッチパッドを3本指で触れると、画面が180度回転する |
ディスプレイ部をキーボードの上にスライドさせた、「タブレット」の状態 |
また、「dynabook R822」では、ディスプレイをフラットからタブレットに変身させている最中に、パームレストおよびマウスパッドだけが見える位置で一度固定される状態が用意されている。ここでは、マウスパッドを使った操作に加え、海外向けモデルで搭載しているNFCが使いやすい状態になるため、ICカードによる認証作業などもこのスタイルで利用できる。
「非公式ながら4つめのポジション」(横手主務)というのが、この使い方だ。
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