Core i5+高速SSDの快適性能、そしてバッテリ駆動時間は?
本機は超低電圧版相当のCore i5-3317U、4GBメモリに128GB SSD搭載という、今シーズンのUltrabookとしては標準的な構成となっている(東芝ダイレクト販売モデルではSSD 256GBモデルも選択可能)。
Windowsエクスペリエンスインデックスでは、プロセッサ・メモリ・グラフィックの値に関しては一般的なCore i5搭載モバイルPCと大差ないが、ストレージとしてSATA3接続のSSDを採用していることから、プライマリハードディスクの値は8.1とハイエンド機に劣らないものになっている。
デバイスマネージャーの表示によればSSDの機種名はSamsung製の「MZMPC128HBFU-00000」で、これはスペックシート上ではシーケンシャルリード最大500MB/s、シーケンシャルライト最大255MB/sのドライブだ。
CrystalDiskMarkによる実測でもそれぞれ468.5MB/s、265.9MB/sという速度が確認でき、十分その性能を引き出せているようだ。体感速度により大きく影響する4Kランダムリードの値も20MB/s以上と申し分ない。
ディスクアクセスに起因する引っかかりなどは感じられず、OSの操作は非常にスムーズだった。PCMark 7のスコアもストレージ性能が影響する項目が多いため、Core i5-3317U搭載機としては全体的に良好な数字となっている。
PCMark 7 v1.0.4の結果 | |
PCMark | 4505 |
---|---|
Lightweight | 3014 |
Productivity | 2161 |
Entertainment | 3137 |
Creativity | 8672 |
Computation | 14720 |
System storage | 5194 |
バッテリは内蔵型のリチウムポリマー電池を採用しており、交換は不可能。カタログスペックでは6時間の駆動が可能となっているが、Web巡回とキーボード押下を自動的に行う「BBench V1.01」で100%充電からの動作時間を実測したところ、5時間03分で残り2%となり休止状態に入った。
電源プロファイルは「バランス」、画面の明るさがスライダーのちょうど半分の位置というデフォルト状態での測定のため、さらに画面の明るさを落とせる場所などではもう少し駆動時間を延ばせる可能性もある。特別にロングライフというわけではないが、他のモバイルノートと比較しても遜色のないレベルとなっている。
画面そのものを共有するためのPC
本機の使用感で問題となるのは1.49kgという本体重量で、これは600g前後の10型タブレット2台分以上に相当する。これだけの重さがあると、iPadのように手で保持しながらWebや動画や電子書籍を楽しんだり、立ち仕事を行ったりという使い方は現実的ではない。基本的には机上に置いた状態で使用することになり、「タブレットスタイル」とは言えど、従来のタブレットとは異質な製品であることに注意しておく必要がある。
また、東芝の製品には、光学ドライブを搭載しながら本機より軽い約1.35kgを実現した13.3型ノートPC「dynabook R732」や、約1.12kgと軽量なUltrabookの「dynabook R632」があり、モバイルノートとして見たときもR822は機能性・機動性で一歩譲る形となっている。
さらには7.7型で約332gのタブレット「REGZA Tablet AT570」などもあり、無理にPCとタブレットを結合するよりは両方を使い分けたほうが良いという考え方もあるだろう。
フラットスタイルの説明の項でも触れたとおり、本機がその真価を発揮するのは複数のユーザーでマシンの周りを囲み、同じ画面を見ながら作業を行ったり、会話に花を咲かせたりするときだ。その意味では、どんなユーザーに適しているかは明確であり、ずばり「2人以上でPCを使う場面が発生する」人におすすめの製品である。
今回の試用期間中、筆者が趣味の仲間と集まる際に本機を持参し、写真を表示したり動画サイトを楽しんだり、ちょっとした絵を描いてみたりといった使い方を試してみたが、机上に置いたPCの画面をテーブルの向こう側にいる人からも見られるというのは、意外にも他のノートPCでは得られない新鮮な体験だった。
もちろん、プレゼンテーションや商談といったビジネスシーンでの有用性は容易に想像できるところである。
むしろ惜しかったのは、標準搭載されているWindowsストアアプリだけでは十分にWindows 8の楽しさを味わえなかったことだ。写真をパラパラと見るのに「フォト」アプリは使いやすかったが、指で絵を描こうとしたらデスクトップ版の「ペイント」しかなく、ツールバー上の小さなボタンを押すのにかなり難儀した。
この体験がストアからアプリを探してダウンロードする動機にはなったが、もしその場がネットワークにつながっていない環境だったら、従来のデスクトップアプリをタッチで操作する不自由さを味わっただけで終わっていたかもしれない。
ただ逆に言えば、今後タッチ操作に対応した定番アプリが揃うにつれて、「dynabook R822」のようなノートPC+タブレット融合型デバイスの魅力がさらに増す伸びしろが残されていると見ることもできる。従来のノートPCで見落とされることの多かった、画面そのものを共有するという使い方の広がりに期待したい。
製品名 | dynabook R822/T8 |
---|---|
CPU | Core i5-3317U(1.70GHz、最大2.60GHz) |
チップセット | Mobile Intel HM76 Express |
メモリ | PC3-12800 4GB(4GB×1、増設不可) |
ストレージ | 約128GB SDD |
光学ドライブ | なし |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵) |
ディスプレイ | 12.5型ワイド(1,366×768ドット) |
ネットワーク | IEEE802.11b/g/n対応無線LAN |
インタフェース | USB 3.0×2、HDMI出力端子×1、ヘッドホン端子×1 |
メモリースロット | ブリッジメディアスロット(SD/SDHC/SDXC/マルチメディアカード)×1 |
TVチューナー | なし |
バッテリ駆動時間 | 約6時間 |
サイズ/重量 | 約W326.5×D213.0×H19.9mm(突起部含まず)/約1.49kg |
OS | Windows 8 64bit |
価格 | 129,800円より(東芝ダイレクト販売モデル R822/WT8GS) |