第3の形態「フラットスタイル」の有用性とは?
さて、「タブレットスタイル」と「ノートPCスタイル」は既存のデバイスとほぼ同じ形状なのでわかりやすい。では、中間にある「フラットスタイル」にはどのような意味があるのだろうか。
端的に言えば、フラットスタイルは「対面」のためのPCの形態である。本機を挟んで2人のユーザーが互いに向かい合い、ひとつの画面を使って資料やコンテンツを閲覧したり、作業を行ったりするシーンで真価を発揮する。
キーボード手前にあるタッチパッドはマルチタッチ操作を検出可能となっており、3本指でタッチすることで画面の表示内容が180度回転する。[Ctrl]+[Alt]+カーソルキーの操作で表示を回転することも可能だ。
また、フラットスタイルで画面表示が180度回転しているときも、ディスプレイを起こしてノートPCスタイルに変形すると、画面の回転が解除され元の表示に戻る。
例えば、ノートPCスタイルで見積書のテンプレートに数字を入力し、画面を倒してフラットスタイルにして顧客に確認を求め、再びノートPCスタイルに戻して修正・追加入力を行うといった作業もスマートに行える。
最近は顧客に電子カタログを見せながら商品説明を行うといったシーンも増えてきた。資料の閲覧だけならタブレットも便利だが、入力作業が必要な場合はやはりキーボードを備え、Excel、Word、PDFなどあらゆるファイルを正しいレイアウトで表示・編集できるPCのほうが有利だ。
かつて、ノートPCがいまよりもずっと分厚かった時代には、ディスプレイが180度開いてほぼフラットになる機種はそれほど珍しくなかったが、最近のノートPCは薄型化によるヒンジの構造の制限などが理由で、めいっぱい開いても120度くらいでストップとなるものがほとんどだ。
しかし、テーブルに置いたノートPCを複数のユーザーで囲む場合、画面がテーブル面と平行にならない限り、ノートPC本体ごと回転させてやらないと全員が表示を確認することができない。画面をフラットにできるモバイルノート自体が限られている今、「dynabook R822」は貴重な存在と言えるだろう。
ビジネスシーンに限らず、複数人で文書ファイルやWebサイトを見る機会が多い学生などにもフラットスタイルはメリットのある形態と言えるかもしれない。
次のページ:背面カメラが使いやすい「+1」スタイル |