背面カメラが使いやすい「+1」スタイル

iOSやAndroidを搭載したスマートフォンおよびタブレットには、今やカメラが付いているのが当然だが、この流れに乗る形で、Windows 8搭載PCではカメラを装備している機種が多い。

もちろん、これまでもディスプレイの上部にチャット用のWebカメラを備えているノートPCは少なくなかった。だが、タブレット型Windows 8マシンの多くは、ユーザーの顔だけでなく周囲の様子を撮影するため、背面にもカメラを用意しているのが特徴だ。

しかも、従来は出力解像度が640×480~1,280×720ピクセル程度のカメラが主流だったのに対し、フルHD(1,920×1,080ドット)以上の有効画素数を持つ背面カメラを搭載する機種が少なくない。

「dynabook R822」では、前面に100万画素、背面に300万画素のカメラを内蔵している。前面カメラはこれまでのチャット用Webカメラと同等だが、背面のカメラはこの機種の独特のスタイルとも相まって少しユニークだ。

本機をノートPCスタイルで使用するとき、背面カメラはユーザーの視線と同じ方向を向く。このときディスプレイをいっぱいまで手前に起こしても垂直にはならないため、背面カメラはやや下を向いている格好になるが、カメラモジュールはそれを見込んで斜め上向きに実装されており、ほぼ水平方向の映像を撮影することができる。

ディスプレイをいっぱいまで起こしても垂直にはならない

内部のカメラモジュールは少し斜め上向きに実装されているので、ほぼ水平方向を撮影できる

また、このマシンにはタブレット・フラット・ノートPCの3スタイルがあると紹介したが、タブレットスタイルからフラットスタイルに変形するとき、ディスプレイの下からタッチパッドだけが見えた状態で止めることもできるようになっている。

つまり、実際には3+1の計4スタイルが存在する。この「+1」のスタイルのとき、ディスプレイ裏に隠れていた背面カメラがちょうど外側に顔を出す形となるため、本体を持ち上げればユーザーの視界とほぼ同じ映像を撮影することも可能だ。

タッチパッドが見えた段階でスライド部分が軽くひっかかり止まるようになっている。画面への直接タッチとパッドを利用した操作の両方が使えてこのスタイルもなかなか便利

このスタイルで本体を持ち上げれば、ディスプレイを見ながら背面の300万画素カメラを使って視界方向の映像を撮影できる

この背面カメラを見て思いつくのは、動画共有サービス「Ustream」や「ニコニコ生放送」などを利用したライブ映像の配信だろう。講演やセミナーなどのイベントの模様や、遊びに出かけた先の風景などをこれ1台で配信できる。

スマートフォンの内蔵カメラでも同様の使い方は一応可能だが、映像をリアルタイムでエンコードするとなると、現在のスマートフォンの性能ではVGA解像度(640×480ドット)でも秒間10コマ程度が限界だ。本機はCore i5を搭載したPCなので、十分なネットワーク帯域さえ確保できれば720pのHD映像を秒間30コマで配信することもできる。

従来の内蔵カメラの画質はイベント配信などにはやや厳しいものがあったが、本機の300万画素カメラであれば少々デジタルズームを行ってもネット配信に使える画質を確保できるので、別途USBカメラなどを接続する必要がなく、機動性が高い。

ライブ配信ソフトの「XSplit Broadcaster」を利用してカメラの挙動をテストしてみたところ、前面カメラと背面カメラを同時には有効にできず、いったん一方のカメラをオフ(カメラ横の動作ランプを消灯)にしてからでないとカメラを切り替えできない点が少し残念だったが、それ以外の動作には特に問題はなかった。

そのほか、本機はマイク入力端子を搭載していないので、外部マイクを利用したい場合はUSB接続マイクやドングル型のオーディオインタフェースを用意する必要がある。

左側面に電源ボタン、音量アップ/ダウンボタン、画面回転ロックボタン、USB 3.0ポートを装備

右側面はヘッドフォン端子とSDカードリーダー(カバー付き)のみ。マイク端子はない

奥の側面にはUSB 3.0ポートとHDMI出力を搭載

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