さて、筆者は鉄道撮影をたしなんでおり、「Q10」を鉄道撮影に使ってみた。鉄道をAFで撮影する際に最も重要になってくるのは素早いピント合わせと、車両の顔にピントを合わせてくれる確実なオートフォーカス。この辺りも「Q」と比較していかに向上したか気になるところ。トンネル飛び出しというシシビアな条件で試してみた。暗所&望遠側使用時にも高速、確実にしっかり合わせたくれた。

撮影モードダイヤルを「BC」にセットすると、ボケコントロールを呼び出せる

02 STANDARD ZOOM装着時の前面外観

注目したいのが「Q10」の発売と共にリリースされた交換レンズ「06 TELEPHOTO ZOOM(望遠ズーム)」。35mm判換算で83~249mmの焦点距離と、その全域でF2.8という開放F値をカバーするレンズだ。鉄道撮影を行う者として、一番使用する撮影距離帯。このレンズ、"F2.8通し"にしてはとても小さく全長56mm、外径50mm、重さ約90gと信じられないようなスペックだ。これは嬉しい。描写力に期待したいところだが、その実力やいかに?……ということで、実写で試してみた。

06 TELEPHOTO ZOOMは大口径望遠ズームの割にに、そのサイズ感は標準ズームとさほど変わらない

「02 STANDARD ZOOM(標準ズーム)」レンズの場合、広角側はとても実用的だが、望遠側が少々眠たいような印象を受けていた。だが、「06」の望遠側はかなりシャープで出来る子というかなりの好感触。想像以上のシャープな写り、あの極小の画像素子でこのバランスの取れた描写には大満足だ。ワイド端からテレ端まで開放から使える印象を受ける。

レンズは、目盛を●の位置から最低でも15の位置まで回してから使う。沈洞式がロック解除なしでよく出来ている。また、テレ端に関しては一眼レフ機のつもりで構えるとそれなりのスキルも必要なので、三脚を使った方が良いかもしれない。またワイド端が02 STANDARD ZOOMのテレ端よりも寄れないのでうまく使い分けをしてほしい。画面全体で均質性の高い画質、高性能レンズシリーズの中では最小クラスの撮像素子の能力をフルに引き出すレンズといえるだろう。ついにQマウントでこういう圧縮した望遠の画も得られるようになったわけで、スゴイ!の一言に尽きる。旅に行くのに大砲のようなレンズを担いでいく気にもならないし、女子だし……でも、そこそこちゃんとした編成写真やしっかりした鉄道写真も撮りたくなっちゃった……そんなときにも有効だ。

鏡胴は沈胴式、撮影時はロック解除なしで前玉が鏡胴からせり出す。写真左は「06 TELEPHOTO ZOOM」、右は「02 STANDARD ZOOM」

TELEPHOTO ZOOMの15mm(広角端)で撮影。撮影モード:絞り優先、F4、1/80秒、WB:オート、ISO1000(オリジナル画像を見る)

06 TELEPHOTO ZOOMの45mm(望遠端) で撮影。撮影モード:絞り優先、F4、1/80秒、WB:オート、ISO1000(オリジナル画像を見る)

使用レンズ:06 TELEPHOTO ZOOM、撮影モード:絞り優先、F3.2、1/160秒、WB:オート、焦点距離45mm、ISO1000(オリジナル画像を見る)

使用レンズ:06 TELEPHOTO ZOOM 撮影モード:絞り優先、F3.2、1/150秒、WB:オート、焦点距離21mm、ISO800(オリジナル画像を見る)

使用レンズ:02 STANDARD ZOOM、撮影モード:絞り優先、F4.0、1/40秒、WB:オート、焦点距離15mm、ISO1000(オリジナル画像を見る)

スマートエフェクト「極彩」で撮影(オリジナル画像を見る)

個人的には「03 FISH-EYE(魚眼レンズ:フィッシュアイ)」との組み合わせがカメラ女子らしく好みだ。画角が180度ではなく160度までなのが。ちょっと残念ではあるが……駅ホームでの何気ないカットも、らしくなっちゃうのだ。なかなか鉄道撮影ではフィッシュアイを使うことがないだけに、「Q10」+「Fish eye」で新たな女子鉄写真の世界を開拓したくなった。カメラ内加工の魚眼とは一線を画す写り。

「03 FISH-EYE」装着時

使用レンズ:03 FISH-EYE、撮影モード:絞り優先、F5.6、1/30秒、WB:オート、焦点距離3mm、ISO320(オリジナル画像を見る)

使用レンズ:03 FISH-EYE、撮影モード:絞り優先、F5.6、1/80秒、WB:オート、焦点距離3mm、ISO200(オリジナル画像を見る)

露出モード「ボケコントロール」(オリジナル画像を見る)

カスタムイメージ「色抽出」(オリジナル画像を見る)

03 FISH-EYEで撮影(オリジナル画像を見る)

03 FISH-EYEで撮影(オリジナル画像を見る)