今までの実績が参考にならない、全てがチャレンジングなPC
鬼澤氏は、これまでにもPCの商品企画を担当してきた経緯があったが、それは複数の機種を横断した企画が中心であり、1機種の商品企画を流通に載せるまでプロデュースするのはこれが初めてのことだ。
それに加えて、女性だけのプロジェクトチームで企画が進められていたために、担当社員だけでは通常決断できないような要件やオペレーションまで、自らジャッジを下さなくてはならないシーンが相次いだという。例えばカラーバリエーションの取り組みも、収益の採算点を捉えながら、プロジェクトチームで意思決定を行っている。
「これまでの実績が参考にならないPC。全てにおいてチャレンジングなものだった」というのも頷ける話だ。そして、「オプションで用意した専用PCケースや、マウスが入るポーチも、町工場に行って自分たちで生地を選んで、作ってもらった」という逸話も披露する。
「Floral Kiss」は、アクセサリーブランド「agete」(アガット)とのコラボレーションモデルも用意しているが、これも今までに実績がなく「ageteのホームページから連絡先を調べて、コンタクトを取った」というところからスタートしたものだ。
このコラボレーションモデルは、ageteのイメージカラーであるバイオレットの筐体、ゴールドに筆記体文字のキーボード、クラッチバッグ形式のゴールドラインのマットな質感など、随所にageteの世界観をちりばめたもの。専用PCケース、マウスポーチも付属し、壁紙も専用のものを採用している。
「富士通はおしゃれなPCを出すメーカー」 - 今後は美活・時短をキーワードに展開
鬼澤氏は、「『Floral Kiss』の登場によって、富士通はおしゃれなPCを出すメーカーだというイメージが、女性の間に生まれるとうれしい」と語る。
エレガントPCプロジェクトチームが描いた女性向けのPCは、第1弾としては目指せるところまで到達したと、鬼澤氏は自己評価する。
そして、「これからは女性向けのハードウェアとサービスをセットにして提案するような活動にもつなげていきたい」と、今後の方向性についても言及する。それは例えば「美活」や「時短」といったキーワードだ。
「日々忙しい女性が、効率的な生活を、楽しく、美しく送ることができるための提案をしていきたい。富士通が展開する『My Cloud』におけるサービスの提供、あるいはパートナーとの協業による新たなサービスの提供にも取り組んでいきたい」とする。
富士通では、「Floral Kiss」から始まった女性向けPCを、継続的に展開していく姿勢のようである。この取り組みが、今後どんな形で広がっていくのか注目されよう。