auのこだわり

3つ目はauの"こだわり"。auのLTEネットワークのきめ細やかさについて、田中社長は説明を行った。

今回スタートする4G LTEはFDD LTE方式だが、これは3Gに比べて電波が干渉する場所で急激に通信がつながらなくなるという欠点があり、干渉を避けると電波が弱い部分が出てくる。また、ビル陰のような場所などでも電波の弱い場所が出てきてしまう。これを解消するために、小型の基地局(ピコセル)を初めて投入。通常のマクロセルとピコセルの「2レイヤーでエリア構築をしている」(同)と話す。

きめ細かいエリア展開のためにピコセルを導入する。同社の基準でいうピコセルの導入は世界初という

通常のマクロセルだけではすき間が生まれるが、これをピコセルで埋める

これによって、「LTEの訴求すべきスピード、スループットを実現する」(同)ことが狙いで、単にLTEにつながるだけではなく、高品質のエリアを構築していきたい考えだ。また、基本的に800MHz帯でのサービスを提供するが、都心の主要駅のような高トラフィックエリアでは1.5GHz帯も活用し、エリアとスピードを確保する。

さらに新たに「Optimized Handover」技術を投入。移動中にLTEから3Gに切り替わる(ハンドオーバー)時に、5秒程度パケット通信が行えない状態になるが、この問題をOptimized Handoverが解消する。

LTEと3Gの間のハンドオーバーをシームレスに行うOptimized Handover

これまで5秒ほど必要だった接続切り替えが、瞬時に行える

Optimized Handoverでは、端末が受信する電波が弱くなってきた段階で、コアネットワーク側であらかじめハンドオーバーの準備を行っておく。これによって、実際のハンドオーバー時の通信時間が短縮化され、「瞬時」(KDDI)に切り替わるという。田中社長は、「ネットワークを意識させないネットワーク」と話し、通信が途切れないような環境を実現する。

同技術は標準技術ではあるが、田中社長によれば、「ドコモは、ネットワークは対応しているが、端末の対応はこれから。もう1社(ソフトバンク)は両方対応していない」。田中社長は、「我々自身のエンジニアリング能力として誇りに思っている」と胸を張る。

※お詫びと訂正(2012年10月25日)

KDDI田中孝司社長の発言がKDDIの調査により誤りがあると判明いたしました。Optimized Handoverに関する発言として「ドコモは、ネットワークは対応しているが、端末の対応はこれから」と表記しておりますが、正しくは「ドコモはネットワークにも端末にも同様の技術に対応している」となります。

読者の皆様ならびにご迷惑をおかけしました関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。