試合前には整列して名刺交換するというサラリーマンらしいルールが取り入れられたが、「着替えたために名刺入れを持っていない」というトラブルが発生し、急きょ名刺交換は中止になった。グダグダである。また、勝利したチームには1分間の企業PRの権利が与えられる。
試合はトーナメント方式で行われる。9チームなので、試合数はやや変則的だ。決勝まで進んだ場合の試合数は通常3戦だが、最初に入る枠によっては4戦することになる。くじの結果、その1戦多い「損な枠」にはサイバーエージェントとはてなが入ることになった。……ただし、サイバーエージェントはくじで負けたからではなく、あえて自分からそこに入っていった。
これは絶対の自信の表れだろうか。ちなみに下馬評ではサイバーエージェントと楽天が2強らしい。……IT企業のフットサル事情、覚えておいて損はないかもしれないが、たぶん得もない。ということで1戦目。「サイバーエージェント VS はてな」の試合である。
この試合を解説のIT戦士こと岡田有花氏は「面白い試合」と評していたが、たしかに興味深い対決だ。サイバーエージェントはごぞんじ「アメーバブログ」「アメーバピグ」をはじめとするサービスを展開しており、ITというよりも広告代理店の色が強い企業である。以前、サイバーエージェントの入社式の写真が出回り、「社員の雰囲気がチャラい」と話題になったが、たしかにサイバーエージェントにはIT企業らしからぬ"リア充"な雰囲気が漂っている。アメブロが多数の芸能人ブログを抱えていることも影響しているのだろう。
対するはてなは、ブログ黎明期から日本のネットカルチャーを支えてきた老舗の企業。「はてなダイアリー」や「はてなブックマーク」といったサービスはネット世論の形成に強い影響を与えているのだが、企業自体の一般的な知名度はあまり高くなく、「硬派」「不器用」といったイメージが強い。言うなればこの試合は、インターネットにおける「リア充 VS ギーク」の戦いを代表しているとも言えるのである。
そんなことを考えながら見ていたのだが、試合の方は一方的であった。はてなチームもかなりがんばっていた……というか決して下手ではないのだが、優勝候補と目されているサイバーエージェントが強すぎるのだ。どうやらメンバーはほとんどがサッカーorフットサル経験者で占められているらしく、控えの層も厚い(この大会はメンバー交代が無制限)。またたく間に6点を決められ、何とかはてなも1点を返して一矢報いたものの、結果は7-1とサイバーエージェントの圧勝で終わることとなった。
この結果にはニコニコ生放送でも「結局リア充には勝てないのか…」「CA強すぎる」といったコメントが流れており、「なんだかんだ言ってもやっぱりリア充は強い」という、身も蓋もない結論に至ることになってしまった。あくまでもフットサル、あくまでもサイバーエージェントの話なのだが、なんだろう、まるで世の中の法則を再確認させられたかのような、この複雑な気持ちは。
……気を取り直して2戦目へ。続いては「ドワンゴ VS DeNA」という対決だ。トーナメントなので負けたチームは早々に姿を消すことになる。ドワンゴは主催企業として負けられない一戦だ。
と、気合を入れたのはいいのだが、試合はどちらも一歩も譲らず膠着状態に。結局そのまま最後まで決着がつかなかったため、ルールによりじゃんけんで勝敗を決めることになった。ここまできてじゃんけんかよ! とも思うが、これもまたニコニコらしい。
そのじゃんけんの結果、勝利したのはDeNAとなった。モバゲーを有し、さらに野球チームの運営にも乗り出すなど、勢いのあるDeNAが運の良さでも力を見せつけた。というわけでドワンゴはここで早くも退場である。……続きを読む