さて、ここからは前回同様、個々の機能についてPowerPointとKeynoteの違いを見ていこう。

機能対決その1:テンプレート

プレゼンソフトは多くの場合、テンプレートを元にしてスライドを作っていく。テンプレートの種類が多ければ個性的なものも作りやすくい。PowerPointのテンプレートはデフォルトで65種類。しかしイメージよりも文字重視なレイアウトが多い印象だ。オンラインテンプレートでさらにたくさんのテンプレートを利用できる。 Keynoteではテンプレートは「テーマ」と呼ばれ、テーマセレクタから選択する。用意されているのは44種類だがスライドのサイズが800×600から1920×1080まで選ぶことができる。またイメージ重視のレイアウトが多く、すっきりしている。

PowerPointのテンプレート。マウスカーソルを合わせて左右に動かすと、用意されているテンプレートがサムネイルで確認できる。オンラインテンプレートを合わせれば非常に多い

Keynoteのテーマセレクタ。44種類と数自体は多くはないが、必要最低限のものが揃っている。イメージを多く使ったすっきりしたものが多い

またスライドのテンプレートはそれぞれ「マスター」と呼ばれるものがあり、これを編集することでテンプレートに会社のロゴを付けたり、プレースホルダーと呼ばれる要素を追加したりすることができる。PowerPointではテーマタブから、Keynoteでは同じ画面のスライド一覧を下にドラッグしてマスタースライドを表示させる。加工はイメージに近いものを選び、コピー&ペーストすると同じスライドが追加されるので、これを加工するのが簡単だ。

PowerPointはテーマタブの「マスターの編集」でスライドのテンプレートを編集できる。プレースホルダーと呼ばれる要素を追加すれば、イメージやムービー、グラフなどを選んで挿入できる

Keynoteでは左のスライド一覧の一番上から下にドラッグすると、マスタースライドが現れる

すでにあるマスタースライドをコピーして、要素をコピーしたり並べ換えてテンプレートを加工しよう

  • 【結果】PowerPointは数が多いが、Keynoteの方がイメージを使ったレイアウトが多くデザインもよい。

機能対決その2:編集のしやすさ

PowerPointの操作は「新しいスライド」ボタンからテンプレートを呼び出して、イメージにあったテンプレートを配置してから各要素を編集する。アイコンが表示されている部分は「プレースホルダー」と呼ばれるもので、テキスト以外に表、グラフ、SmartArt、イメージ、クリップアート、ムービーを選んでこの枠の中に表示できる。

「新しいスライド」ボタンからテンプレートを呼び出して追加する

プレースホルダーに入れたい要素をアイコンをクリックして追加する。イメージなどはファイルをドラッグ&ドロップしても追加でき、枠に合わせて自動的にトリミングされる

Keynoteでは「新規」ボタンを押してスライドを追加したあとで、「マスター」ボタンから適用するスライドを選ぶ。一度適用されたマスタースライドを変更することも可能だ。テキストボックスや図形、表、グラフの追加はツールバーにある各ボタンを押して行い、配置も自由にできる。また写真やコンテンツを拡大/縮小してもジャギーが出ないので非常に美しい資料を作ることができる。インスタントアルファやマスク機能など、しっかりとしたグラフィック加工ができるのも魅力だ。

↑ツールバーの各ボタンを押すとスライド上に要素が追加できる

←「マスター」ボタンからスライドマスターを表示して、選んでいるスライドに適用する

  • 【結果】共にテンプレートの要素にドラッグ&ドロップで追加したり、白紙に新しいコンテンツを追加していくことができる。グラフィックの加工はKeynoteが上。

機能対決その3:グラフ

PowerPointの場合、リボンで描画するグラフの種類を選ぶとExcelが起動して、データ入力用の表が表示される。この表で項目名や系列名、数値を変更してグラフを描いていくこことになる。一方Keynoteの場合は、「グラフ」ボタンから使いたいグラフを選ぶと、データエディタが別ウインドウで開き、その表を書き直すことでグラフが変化する。色やタイプなどの見かけは同時に開くインスペクタから変更していく。

PowerPointはExcelを使う分高度なグラフが描けるが、アプリを切り替えることになるのでMacにかかる負担は大きいし、数値を変更したいだけの場合でも必ずExcelが起動されるのは面倒だ。Keynoteはグラフの種類は多くないが、必要十分なものは備えている。エディタを使って簡単にデータ変更ができるのも簡単でいいだろう。

PowerPointはグラフを選ぶと同時にExcelが起動して、Excel上にグラフの数値を入力するようになる

Excelのグラフ機能をそのまま利用できるので高度なグラフ描画が可能

Keynoteでは、「グラフ」ボタンをクリックして使いたいグラフを選択する

選んだグラフが表示され、同時に数値を変更するグラフ・データ・エディタとグラフの見かけなどを変更するインスペクタが表示される

  • 【結果】高度なグラフを描くならExcel。Keynoteはより手軽にグラフを描ける。

機能対決その4:アニメーション

文字や写真の表示に変化を付けるアニメーションは、どちらの場合もスライドに配置されている要素を選んで設定を行う。

PowerPointはアニメーションタブを選んで要素に対して「開始」「強調」「終了」の3段階で効果を指定できる。また軌跡を描いて要素を動かすこともできる。Keynote登場前にはここまで多くの効果はなかったが、Keynoteに対抗する意味もあってか、非常に多くの効果が追加されている。

Keynoteの場合、要素を選んで「インスペクタ」ボタンから「ビルド」の項目を選んでアニメーションを設定する。こちらも「イン」「アウト」「アクション」の3段階で効果を指定でき、アクションは複数の指定が可能だ。ビルドを指定するだけでプレビューを確認できるのもポイントだ。

PowerPointの場合は書式設定の「アニメーション」からアニメーションしたいテキストや画像などの要素を選んで設定する。「開始」「強調」「終了」の3段階で、それぞれリボンから選択しよう

インスペクタのビルドタブから、アニメーションしたいテキストや画像などの要素を選んで設定する。「イン」「アウト」「アクション」のタブを選んでそれぞれのエフェクトを設定していこう

ビルドの「詳細設定」では複数あるアニメーションをどの順番で、どのくらいの時間で動かすかなど細かく設定できる。ビルドの上の部分でプレビューが可能だ

  • 【結果】PowerPointはKeynoteに追いつき、追い越した――というべきかもしれない。効果の種類ではもうPowerPointの方が上だ。
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