それらに比較すると、あくまで主戦場はコンシューマー、というスタンスで従来に近い出展を続けていたのがカプコン。もちろん同社もスマートフォン用タイトルをしっかり揃えているが、試遊の整理券が一瞬でなくなった『モンスターハンター4』をはじめ、『バイオハザード6』『逆転裁判5』など出展内容も充実。3DS、PS3、PS Vita、Xbox360と全ハードに向けて新作を送り出していたのも、たのもしい限り。
会場で表彰式が行われた「日本ゲーム大賞2012」の結果についても触れておきたい。今回の大賞にはPS Vita用の新規タイトル『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』がライバルの大作群を押しのけて受賞。そのほか特別賞にはスマートフォンアプリで人気を博し、キャラクター商品も多数展開されている『おさわり探偵 なめこ栽培キット』が、また現役ゲームクリエイターが選考する「ゲームデザイナーズ大賞2012」には、PS3用のダウンロードタイトル『風の旅ビト』が選出された。他にもスカイリム、パルテナ、マリオ、ゼルダ、ダークソウル、FF13-2、マリオカート、モンハン3G、ワンピース、なめこ、ポケモン、コールオブデューティといった人気作が集まった。
各ハードの人気作から10本が優秀賞に選ばれ、PS Vita用の重力アクションゲーム『GRAVITY DAZE』が大賞。本作の外山圭一郎ディレクター。「完全に想定外です」と驚きつつ満面の笑みで受賞の喜びを語った |
これら3タイトルの共通点は、PS Vita、スマートフォン、ダウンロード配信タイトル、という現在発展中の枠組みでリリースされた新規タイトルということ。今回結果は定番シリーズに偏りがちと長年言われているゲーム業界において、新しいゲーム体験を生み出し、それを新たな枠組みでビジネス的成功につなげることが、いかに困難かつ急務かを示している。
今回の東京ゲームショウは入場者数こそ過去最高を記録したものの、試遊の規模はやや縮小し、スマートフォン用タイトルとステージイベントのラッシュが目立つ変革の年となった。来場者がそれに満足する内容だったかどうか、スマートフォン独自のタイトルがどうゲームファンに受け入れられるのか、また年末のWii Uの発売がゲーム業界にどう影響を与えるのか、そんなことも重ね合わせつつ、2013年に向けての1年をまた追いかけていきたい。