東日本大震災の後に実施された計画停電については、まだ記憶に新しいことだろう。当時、大企業はもちろんのこと中堅・中小企業でも停電に備えてIT機器用の非常用電源の確保などに奔走するところが多かった。これを期に脚光を浴びるようになったのが、UPS(無停電電源装置)である。ご存知の通り、UPSは停電などの電源障害が発生した際に、IT機器を安全かつ自動的に停止することができる装置だ。

幸いなことに、今年の夏は日本国内で計画停電が実施されることはなかったが、停電を引き起こす原因は他にもある。昨今増えているゲリラ豪雨や台風による停電、さらにはオフィスビルの配電盤の点検時などにも短時間とはいえ電力供給が絶たれてしまう。また、電源障害は停電以外にも、過度な電流が流れるサージや電圧低下、他のIT機器からのノイズ等さまざまだ。こうした電源障害に共通しているのは、IT機器に思わぬトラブルをもたらしてしまうという点である。

だからこそ、ITが日々の業務に欠かせない存在となっている現在、中小企業のオフィスでも、サーバはもちろんのこと、クライアントPCやNASなどのストレージ機器、その他さまざまなネットワーク機器にUPSを備えておくべきなのである。

そして最近では、こうしたトラブル防止に加えて、電源管理の効率化といった側面からもUPSへの期待が集まっている。なぜならば今年5月にシュナイダーエレクトリックが発表したUPS「Smart-UPS」シリーズの新製品には、接続されたIT機器の電力消費量や電力料金などを可視化して、適切な電源管理を支援する機能が加わったからだ。

「Smart-UPS」シリーズの新製品(左)には、今回新たに電力使用料を可視化する機能が加わり、電力コスト削減や環境負荷軽減に貢献する。

このように電源に関するあらゆる課題の解決に役立つUPSだが、一部のIT管理者以外、実物を見たことがないという人も意外と多いのではないだろうか(実際には見たことはあってもそれがUPSだと気づいていなかったという例が多そうだが)。そこで今回の企画では、シュナイダーエレクトリックのSmart-UPSを軸に据えて、UPSの機能やその使い方、そしてUPSの利用によってもたらされる効果について3回にわたって検証してみたい。