輝度レベルに応じてチラツキを抑えるEyeCare調光方式

目玉であるエルゴノミクス機能について触れる前に、まずはざっと液晶パネルの表示性能を紹介していこう。前述のように液晶パネルはIPS方式を採用している。このため、24型で1,920×1,200ドット(WUXGA)という高解像度ワイドの表示粋ながら、パネルの両端でも白浮きのない鮮明な表示が確認できる。

この安定した画質がEIZOモニタの魅力

もちろん、色かぶりもないのでフォトレタッチなどの色を扱うような用途にも耐えるだろう。本機は画面を縦回転するピボット機構も取り入れているため、ポートレート表示をする場合にはより広視野角の重宝さを堪能できると思う。

輝度とコントラスト比は、300cd/平方メートル、1,000:1で、昨今のモニタとして過不足はない。輝度の調整幅は広く取られており、明るすぎて(あるいは暗すぎて)困るということもないだろう。そして、この輝度の調整には前述したエルゴノミクス機能の1つである「EyeCare調光方式」を取り入れている。

EyeCare調光方式は、LEDバックライトの点滅時間で制御するPWM調光と、バックライト自体の明るさを(電流の増減により)制御するDC調光を併用しているのが特徴だ。PWM調光はDC調光と比較して輝度の調整幅を得やすいが、遮蔽と透過を高速で切り替える手法のため、人や環境、輝度レベルによってはチラツキを感じることがある。このためEIZOは、高輝度表示ではDC調光、低輝度表示ではPWM調光というように、両方式を併載し、それぞれの長所のみを用いることによってチラツキを低減(疲れ目を緩和)している。

PWM調光(図左)とDC調光(図右)。図は「EIZO液晶モニターセミナー2012」のプレゼンテーション資料より

画面の輝度分布は全体的にフラットで、安定した表示ができている。低輝度に振ると少々ムラが見えるかな、といった程度だ。起伏も小さいので、実使用において煩わしさを感じることはないだろう。色ムラについても同様であり、高い表示品質を備えた製品と言える。

使いやすいスタンド「FlexStand 2」

次はボディデザインを見ていこう。スタンドには同社のモニタでは既にお馴染みの「FlexStand 2」を採用している。底部は円形のため、設置場所に困らない。底部はサイズが小さいが、重量はそれなりにあるため安定性に不安はなく、チルト(上方30度まで可能)のためにパネルを動かす際も楽に調整できた。

ピボット機能を搭載

真横から見たところ

また、底面にはターンテーブルを用意しているので、スウィーベルも非常にスムーズだ。ピボット動作は右回り90度まで対応する。この場合、側面に搭載しているUSBハブ機能のUSBコネクタが上方に位置するため、ケーブルの取り回しなどは気を付けたいところだ。

パネルの位置を設置面にかなり近づけられるので、最も目に負担が少ないとされる「見下ろす格好」での運用が可能

昇降範囲は158mmと標準的だが、これはチルト角が0度(つまり傾けない状態)の場合のみで、チルト角を付ければ最大195mmまで広げられる。パネル下端を設置面のギリギリまで下げて、見下ろす格好で用いることができるわけである。筆者の場合、この姿勢で使用するのがもっとも楽なので、この構造は非常にありがたい。

新型FlexScanでは従来よりもベゼルの幅が狭いデザインになっている(写真左)。四辺がほぼ同じくらいの幅なので、パネルを縦横に配置するようなマルチモニタ環境でも違和感がない。前面下部のボタン類は物理的なプッシュ式(写真右)

次はパネル部分だが、新型FlexScanは従来よりもベゼルの幅が狭くなっている。同社の24.1型従来機だと20mm以上のベゼル幅(例えば左右22.8mm/上下20.5mm)だったが、EV2436Wでは左右16.05mm、上下16mmにまで狭まった。上下/左右ともほぼ同等の幅になり、マルチモニタの環境でも違和感をかなり低減できるだろう。

下部のベゼルにはOSD調整用のボタンやEcoViewセンサー、外光センサー(各センサーの機能については後述)が並んでいる。信号入力やカラーモード、EcoViewといった機能には専用のボタンがあるため、切り替えのたびにいちいちメニューの階層を潜る必要はない。

信号入力はDisplayPort、DVI-Dコネクタ、D-Sub 15ピンの3種類をサポートする。入力の切替はフロントに用意された専用のボタンだけで可能だ

右側面にはUSBハブ×2ポート、ヘッドホン出力、アナログ音声入力が配置されている

スタンド背面のネック部分でケーブル類をひとまとめにしておける。固定用のドアは簡単に開閉できる

背面のレイアウトは下側に各種の信号入力、左側にUSBポート(UP×1、DOWN×2)、ヘッドホンジャック、ステレオミニジャックを配置している。映像入力はDisplayPort、DVI-D(HDCP対応)、D-Subの3種を用意しており、多彩な環境に対応可能だ。

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