豊富な調整機能はEIZOモニタの特徴として知られるが、EV2436Wも例に漏れず多彩な調整項目を搭載する。メニュー構造はカラー調整、画面調整、サウンド調整、PowerManager、本体設定のグループに分類され、各グループの階層を潜っていく格好になる。
もっとも使用頻度が高いと思われるのは「カラー調整」で、ブライトネス、コントラスト、色温度(オフ、400-10000Kの間で500K刻み。例外として9300Kも用意)、ガンマ(1.8、2.0、2.2)、詳細設定の項目が並ぶ。詳細設定では色の濃さ、色合い、オーバードライブ、ゲイン(RGB)の調整が可能だ。
続く「画面調整」では推奨解像度以外の信号を入力した際の表示方法をフルスクリーン(アスペクト比無視)、拡大(アスペクト比維持)、ノーマル(等倍)から選択できるほか、非表示部分の明るさも設定可能だ。また、スムージング(5パターン)の調整もここでおこなえる。
先ほど少し触れたEcoViewについても記しておこう。EcoView機能は、外光センサーで周囲の明るさを検知して、明るさを自動調整する「Auto EcoView」と、入力信号の白レベルに応じて明るさを自動調整する「EcoView Optimizer 2」、人の動きを検知して省電力モードの移行・復帰を制御する「EcoView Sense」の3機能から成り立っている。
検知は熱による動体検知になっているため、服装や環境温度によって感度を微調整するとより高精度の結果が得られる。検知を開始するまでの時間は5秒/30秒、1/3/5/10/15/30/45/60分の中から選択できる |
いずれも省エネを主眼としたもので、ユーザーが意識せずとも電力の無駄な消費を抑えることができる。ことに人感センサーとアルゴリズムは良くできており、席の前を人が通った程度では動作しない。さらに検知感度や検知時間をメニューから変更できるため、様々な環境で柔軟に使いこなせる。
東日本大震災の以後、さらなる省エネが唱えられているが、作業をフルにこなしながら継続するとなるとなかなかに難しい。それだけに、このようにユーザーをフォローしてくれる機能はありがたい。また、必要以上に高輝度な表示は目にかかる負担も大きくなるので、ユーザーの負担を軽減する目的でAuto EcoViewを用いるのも悪くはないだろう。
カラーモードは、プリセットカラーとしてsRGB、Paper、Movieの3種を用意する。昨今、話題となっているブルーライトの抑制という面では、色温度の低いPaperモードは有用かもしれない。個人的に嬉しいのは、ユーザーモードを2つ用意していることだ。常用のモードと特殊用途のモードがあると、調整の手間が大幅に軽減されるためだ。一般的な家庭においても、昼夜で室内の明るさや色温度が大きく変わるのは普通だろうから、それなりにニーズは高いのではないだろうか。
以上、ざっとFlexScan EV2436W-FSを紹介してきた。目を引くような派手な機能はなく、同等のモニタを使っている人に買い替えをお勧めするほどの訴求力を持った製品ではないが、やはりその安定した表示と快適な使い心地は、他社製品では得がたい魅力である。問題は競合と比較して高価なことだが、5年間保証も加味すると、長時間モニタを点けている人や業務用途であれば、むしろお買い得のように思う。
■試用機の主な仕様 | |
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製品名 | FlexScan EV2436W-FS |
画面サイズ | 24.1型ワイド |
画面タイプ | ノングレア(非光沢) |
駆動方式 | IPS方式 |
解像度 | 1,920×1,200ドット |
輝度 | 300cd/平方メートル |
コントラスト比 | 1,000:1 |
視野角 | 水平/垂直とも177度 |
応答速度 | 6ms(中間階調域) |
最大表示色 | 約1,677万色(8bit対応) |
映像入力 | DVI-D(HDCP対応)、DisplayPort(HDCP対応)、D-Sub |
サウンド入力 | テレオミニジャック、DisplayPort |
サウンド出力 | ヘッドホン端子 |
内蔵スピーカー | 1W+1W |
スタンド機能 | チルト:上30度、スウィーベル:左右172度、 高さ調節:195mm、縦回転(ピボット):右回り90度 |
VESAマウント | 100×100mm |
本体サイズ/重量 | W552.5×D245.5×H376~534mm(横表示)/6.7kg |
直販価格 | 54,800円 |