高い処理能力と長時間のバッテリ駆動を両立
プロセッサは、NVIDIAのクアッドコアプロセッサ「Tegra 3」を採用している。動作クロックは、シングルコア動作時最大1.5GHz、マルチコア動作時最大1.4GHzとなる。Tegra 2搭載の従来モデルもまずまず快適だったが、ホーム画面の切り替えやブラウザのスクロール操作時などに若干引っかかりを感じる場面もあった。それに対しXperia Tablet Sで、どういったシーンでもストレスを感じることなく動作する。もちろん、3D描画のゲームも非常に快適に動作する。さらに、動画再生支援機能も強化されており、従来モデルでは再生が難しかったH.264(MPEG4 AVC) High Profile形式のフルHD動画もコマ落ちなくスムーズに再生できる。従来モデルの弱点であった、H264動画の再生能力の低さが改善されている点は嬉しい。
また、強力なプロセッサを搭載しつつ、バッテリ駆動時間を延ばしている点も見逃せない。Tegra 3には、「バッテリーセイバー・コア」と呼ばれる、低消費電力で動作するコンパニオンコアが搭載されており、低負荷動作時にはメインコアを停止しバッテリーセイバー・コアを動作させることでバッテリ駆動時間を延ばせるという特徴がある。加えてXperia Tablet Sでは、本体が薄く軽くなったにもかかわらず、従来よりも容量が1,000mAh増えた、6,000mAhのバッテリを搭載。これにより、公称で約10時間のバッテリ駆動を実現している。
そこで、実際にバッテリ駆動時間を計測してみた。今回は、バックライト輝度を最低にし、無線LANとGPSはオン、Bluetoothはオフにした状態で、動画プレーヤーアプリ「MS動画プレーヤー」を利用して、H.264形式のフルHD動画(Baseline Profile、4Mbps)をループ再生させて計測してみた。すると、従来モデルでは約9時間59分の駆動時間だったのに対し、Xperia Tablet Sでは約12時間48分と、3時間弱も駆動時間が長かった。これだけ長時間の駆動が可能なら、海外旅行などで長時間のフライトでも、じっくり映画などの映像が楽しめるだろう。
ちなみに、従来モデルではバックライト輝度を最低に設定すると、暗くなりすぎて映像が見づらくなるが、Xperia Tablet Sでは最低輝度でも十分に明るく、明るい部屋でも映像をしっかり認識できる。これも見逃せないポイントだ。
■Quadrant Professional Edition Version 2.0の結果
Sony Tablet S | Xperia Tablet S | |
---|---|---|
総合 | 2071 | 4357 |
CPU | 4785 | 12272 |
Mem | 2357 | 3241 |
I/O | 1067 | 3507 |
2D | 310 | 336 |
3D | 1837 | 2431 |
上記の結果は3回計測した平均値。各回の計測結果はこちら |
Xperia Tablet Sの結果は、従来モデルのSony Tablet Sよりも大幅に結果が向上していることがわかる。実際にタブレットを操作しても、従来モデルのようなわずかな引っかかりも感じることがなく、非常に軽快に動作する。
■AnTuTu Benchmark v2.9.2の結果
AnTuTu Benchmark v2.9.2の結果も同様で、総合スコアは従来モデルの2倍以上を記録した。
Sony Tablet S | Xperia Tablet S | |
---|---|---|
総合得点 | 5345 | 11587 |
CPU | 2587 | 6850 |
RAM | 862 | 2448 |
GPU | 1200 | 1498 |
I/O | 725 | 791 |
上記の結果は3回計測した平均値。各回の計測結果はこちら |
■PEACEKEEPERの結果
Sony Tablet S | Xperia Tablet S | |
---|---|---|
325 | 436 | |
上記の結果は3回計測した平均値。各回の計測結果はこちら |
ブラウザのレンダリング速度を計測する、Futuremarkの「PEACEKEEPER」では、従来モデルから約25%の速度向上を記録(標準ブラウザを利用して計測)。Webページのスクロールや拡大/縮小といった操作も軽快で、使っていてストレスを感じる場面がほとんどない。
側面インターフェイスなどをチェック
本体に用意されているインターフェイスは、左側面にSDカードスロットとヘッドホン/マイク共用ジャック、下部側面の「マルチコネクター」と呼ばれる独自形状のコネクタのみとなっている。また、物理ボタンは右側面に電源ボタンとボリュームボタンを用意する。 従来モデルではMicro USB端子が用意されていたものの、Xperia Tablet Sにはない。ただし、下部のマルチコネクターには、一端がUSBコネクタとなった専用ケーブルが接続可能となっており、そちらを利用してPCなどのUSBポートに接続し、データの送受信が可能となっている。また、このマルチコネクターには、付属の専用USBケーブルに加えて、HDMIアダプターケーブルや、USB機器を接続して利用するための、USBホストアダプターケーブルなどを接続して利用できる。
本体背面。下部にはステレオスピーカーと、汎用コネクタ「マルチコネクター」を被うカバーが見える。また、上部には800万画素の裏面照射CMOSセンサーを利用するカメラも搭載している |
カバーを外すと、マルチコネクターが現れる。Xperia Tablet Sは防滴使用となっているが、防滴性能を維持するにはカバーを装着する必要がある |
充電は、付属の専用USBケーブルを利用し、マルチコネクターと付属のACアダプターを接続することで行う。ただし、PCのUSBポートに接続した場合には充電が行えないとされており、PCのUSBポートに接続した場合には、画面にも充電が行えない旨がメッセージで表示される。ただ、付属のACアダプターを利用せずとも、5V/2A出力に対応する市販のUSB充電アダプターを利用しても充電が行えたので、汎用性は高いと言える。今回は試せなかったが、高出力タイプのUSBコネクタを備えるPCであれば、充電が可能かもしれない。