EOS 5D Mark IIIのカメラとしての性能にも触れておこう。製品としての位置付けは、2008年に発売された「EOS 5D MarkII」の実質的な後継機で、AFや連写など主にスピード面での強化が図られている。
特に大きな進化といえるのは、AFシステムに、シリーズ最上位機のEOS-1D Xとほぼ同等となる「61点高密度レティクルAF」を採用したこと。最大41点のクロスセンサーを含む61点の測距点を備え、測距点の選択モードは自動やスポットなど6パターンに対応。AFの動作特性は、メニュー画面から細かくカスタマイズでき、本格的なスポーツ撮影もこなせる快適なAF性能を誇っている。
さらに、レリーズタイムラグを短縮し、撮影時のレスポンスがいっそう快適になったことや、作動音を最小限に抑える静音モードを搭載したこと、視野率100%のファインダーの採用、液晶モニターの大型化と精細化なども見逃せないポイントだ。
撮像素子には有効2,230万画素のフルサイズCMOSセンサーを、画像処理エンジンには新開発した「DIGIC 5+」をそれぞれ搭載する。画質については、デフォルトのJPEGの画質傾向にやや違いがあり、従来機に比べてシャープネスが強めになったことや、高感度ノイズがいっそう目立たなくなった点が長所だ。RAWも含めた総合的な画質は、従来に比べて格段に向上したというほどではないが、それでも精細感の高さやノイズの少なさや、ボケ量の大きさは、フルサイズならではの魅力といえる。
以下の作例は、すべてEF40mmで撮影したもの。一般的に、風景を高画質で撮るには少し絞り込むことがセオリーといわれるが、ここではあえて開放値を多用して前後をボカした表現を狙ってみた。構図についてはズームレンズに比べて自由度が低いが、ズームができないという制約はかえって撮影の面白さにつながる。EOS 5D Mark III+EF40mmは、散歩がてらに高画質のスナップを楽しむための、最強の組み合わせだ。
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/3200秒) / 露出補正:±0/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/320秒) / 露出補正:±0/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/2500秒) / 露出補正:+0.6/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/30秒) / 露出補正:-0.3/ 感度:ISO800 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/5000秒) / 露出補正:-0.3/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/3200秒) / 露出補正:+1/ 感度:ISO100 / WB:太陽光 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F22 1/250秒) / 露出補正:-2/ 感度:ISO100 / WB:日陰 (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/3200秒) / 露出補正:+0.6/ 感度:ISO100 / WB:オート (オリジナル画像を見る:5,760×3,840ドット) |