――ライブを終わられての感想をお聞かせ下さい。

梶浦「ライブに対しての緊張感が思いのほかありました。今まで慣れた日本では何度かやっていましたし、慣れた手順的なものもあったんですが。それをバンドごと、そっくりそのまま海外に持ってくるということで、心配ごとはやはり多々ありました。その一つ一つをクリアに出来た上でライブの場に臨めた事でまず安心感がありましたし、何よりお客様の、暖かい反応、笑顔で、音が確かにお客様に届いているという確信を得ることが出来ました」

――一体感のあるライブでしたが、想像はしていましたか?

梶浦「2003年に『ANIME EXPO』でやらせていただいて、アニメエキスポのお客さんが、音楽を楽しもうと前向きに聞きに来てくれるというのはわかっていたので、お客さんが好意的に反応してくれるだろうなということに関しては、心配していなかったんです。ただ、最後の方で、一体感を感じられるとは思っていなかった。わりと自由の国ですから、皆さん、それぞれが自由に楽しんでくださって、そういう意味で、すごく楽しいライブになるんじゃないかと思っていたんですが、皆さん、ビッグウェーブとか、スタンドの後ろの方でクールに聞いていたお客さんまで、最後の方はウェーブしてくれて、曲に合わせて左右に手を振ってくれるとは思ってませんでした。ちょっとグッと来てしまいました。ステージ上は私だけではなく、みんな泣きそうでした」

――2003年に出演された時は最小限のメンバー構成でライブに臨まれましたが、今回はフルメンバーが出演されました。

梶浦「当時は、『Yuki Kajiura Live』が始まっていなかったんですね。だから、『Yuki Kajiura Live』をこういう風に見せますよという形態がなかったんです。その後『Yuki Kajiura Live』とが始まって、今度ライブするなら、『Yuki Kajiura Live』をそのまま持っていく形でないとあまり意味がないなと。劣化版を持っていくわけにはいかないので、できれば今やっているメンバー全てで、『Yuki Kajiura Live』をちゃんとお見せしたいと、『ANIME EXPO』さんにお願いしたら、OKと言ってくださったので。まさかOKと言ってくださるとは、正直思っていなかったんです。人数多すぎて。快くOKしてくださったので、全員で来ました。ここ3作ぐらい、アメリカでも人気の作品に取り組まさせていただき、それもあって呼んでいただけたと思うんですよね。その人気作のBGMを聞きに来るわけで、それをお聞かせするのに、なるべくいい形でと思ったのもありますね」

――それは、プレッシャーにはならないですか。

梶浦「『Fate/Zero』の曲も『魔法少女まどか☆マギカ』の曲も日本で何度かライブでやっていたんですね。Yuki Kajiuraライブはバンドメンバーがとにかく素晴らしく、歌ってくれている4人もともかく素晴らしく、私の理想のメンバーをステージに集めているので、私の曲を聴いて欲しいと言うよりは、彼らの演奏に酔いしれて、という気持ちで来ました。このバンドメンバーすごいでしょ。この歌い手さんたち凄いでしょっていう気持ちがどこかにあって、彼らがきちんと演奏出来て、きちんと歌える環境さえ用意できれば、音楽に関しては心配していません」