富士通は17日、都内でシニア層をターゲットにしたスマートフォンの新機種「らくらくスマートフォン F-12D」の発表会を開催した。同発表会ではタッチ&トライイベントも実施。ここでは、発表会でのプレゼンテーションに加え、イベントで実機に触れた感想をリポートしよう。
「らくらくスマートフォン」への期待
「らくらくスマートフォン」は、NTTドコモが2001年より販売する「らくらくホン」のスマートフォン版だ。NTTドコモのプロダクト部長・丸山誠治氏によると、らくらくホンシリーズは文字を大きくしたり操作をシンプルにしたりといったシニア層に配慮したインターフェースが支持され、これまでに累計2,100万台を売り上げているのだという。
昨年度の国内出荷数シェアトップに輝いた実績を強調した、富士通代表取締役副社長・佐相秀幸氏も、「ARROWSシリーズとらくらくスマートフォンで首位を守る」と語ったことからも、同端末への期待は大きいことがわかる。
開発の経緯と基本コンセプト
昨年12月、らくらくホンのターゲット層である55歳以上のシニア層にアンケートを実施したところ、42.6%が「スマートフォンを今後使ってみたい」と回答。こうしたニーズを受けて、NTTドコモは従来のらくらくホンシリーズに新しく「らくらくスマートフォン」を追加することを決定した。
「らくらくスマートフォン」の基本コンセプトは、らくらくホンと同じく「しんせつ」「かんたん」「見やすい」「あんしん」の4つ。これまでのらくらくホンの長所を生かしつつ、スマートフォンならではの楽しみも提供する。
最終的に製品として形作られるまでには、いろいろな課題もあったようだ。富士通執行役員常務・大谷信雄氏は、「らくらくスマートフォン」を開発するにあたり、「1年以上にわたる調査・分析によりお客様のニーズや課題を抽出した」という。シニア層がスマートフォンを使う際の課題として次のような声が多かったことを明らかにした。
- 専門用語の意味がわからない
- 文字サイズが小さく読みにくい
- 携帯電話のようなボタンを押した感覚がなくて不安
- 狙った通りの箇所をタッチできない
- タッチしたときに指がずれて誤動作する
- アカウントの取得が難しい
これらの課題を解決するためには、従来のスマートフォンにシニア向けのインターフェースを載せるだけでは不十分だ。そこで富士通は、今回の「らくらくスマートフォン」開発において、「ハードウェア」「OS」「アプリ」「インターフェース」「サービス」のすべてをシニア向けに対応させることにした。