レンズには、35mm判換算で28~100mm相当の焦点距離を持つ光学3.6倍ズームを搭載する。ボディとのバランスでは、やや大きなレンズのように見えるが、1.0型(13.2×8.8mm)という撮像素子のサイズを考えれば、実は非常にコンパクトなレンズといえる。

単純に考えれば、撮像素子の大きさが従来の4倍になれば、その撮像面をカバーするレンズも従来の4倍の大きさになるはずだ。しかしDSC-RX100のレンズは、従来の4倍の大きさにはなっていない。大型センサーを搭載した他社のズームレンズ付きコンパクト機に比べても、本モデルの小ささは際立っている。

カールツァイス「バリオ・ゾナーT*」の3.6倍ズームを搭載

電源を入れると、レンズ部がせり出す

レンズの構成は、非球面レンズ4枚を含む6群7枚となる。このうちの1枚は、同社が独自に開発した「AAレンズ(Advanced Aspherical=高度非球面成型)」と呼ばれるもので、薄型の光学設計に大きく寄与している。さらに、光学手ブレ補正用のレンズを前後に分けて配置したり、フォーカス駆動のモーターなどにも新しい工夫を加えることで、大型センサーと小型レンズの両立を実現している。

開放値はワイド端F1.8、テレ端F4.9に対応。ワイド端が特に明るく、薄暗いシーンでも感度をあまり高めずに撮影できるメリットがある。最短撮影距離はワイド端が5cmで、テレ端が55cm。テレ端であまり寄れないのは残念だが、ワイド端では十分な接写が可能だ。

写りは、開放値からシャープネスが高く、歪曲などの各種収差は目立たないように低減されている。最短撮影距離付近の近接撮影では、開放値でやや滲んだような描写傾向を感じたが、絞りを絞り込むことでクッキリとした描写になる。

撮影モード:絞り優先AE(F5.6 1/50秒) / 露出補正:-0.3 / 感度:ISO80 / WB:オート / クリエイティブスタイル:スタンダード / 焦点距離:37.1mm

撮影モード:絞り優先AE(F1.8 1/500秒) / 露出補正:+1 / 感度:ISO80 / WB:太陽光 / クリエイティブスタイル:スタンダード / 焦点距離:10.4mm

撮影モード:絞り優先AE(F2 1/20秒) / 露出補正:-0.7 / 感度:ISO125 / WB:曇天 / クリエイティブスタイル:スタンダード / 焦点距離:10.63mm

撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/60秒) / 露出補正:-0.3 / 感度:ISO200 / WB:オート / クリエイティブスタイル:スタンダード / 焦点距離:10.4mm