iPadやAndroidタブレットで最新のPCゲームを楽しむ
ここまで紹介したVGXの事例は企業向けなど主にエンタープライズ用途を対象としているが、より多くのユーザーにGPU世界を体験してもらうべく、「ゲーミング・クラウド」と呼べる仕組みをNVIDIAでは提供しようとしている。Huang氏は映画/TVコンテンツにおけるパッケージメディアとオンラインストリーミングの市場規模比較のスライドを見せながら、なぜいまクラウドが注目が集めているのかを説明し、「利便性に勝る訴求ポイントはない」と訴えた。「映像クォリティの高さよりも、いつどこでも好きなデバイスでコンテンツを楽しめる」という点でストリーミング利用が急増している理由だということだが、これは逆に「利用のハードルを下げればゲームユーザーはさらに増加する」という可能性も示唆している。それを実現するのが、VGXのアイデアをゲーム分野に持ち込んだ「GeForce GRID」だといえる。
VGXでは高性能ワークステーションのデスクトップ環境をを手元の好きなデバイスから利用するのが主だったが、GeForce GRIDは同じ仕組みを利用しつつ、それを好きなデバイス上でゲーム機を再現するものだといえる。具体的には手元にゲームコントローラやタッチ可能なデバイスがあり、ネット上からストリーミング配信されてくるゲーム映像とサウンドを楽しむ形になる。VGXは社内のイントラネット上にあるサーバを複数ユーザーで共有する形態をとるが、GeForce GRIDはゲームサービスを提供する事業者のデータセンターをクラウドと見立て、そこに手持ちの好きなデバイスで接続してゲーム機のように遊べる。壇上では2人のユーザーがノートPCとTV型の受信装置という2つの異なるデバイスを通してゲーミング・クラウドへと接続し、「Hawken」のオンラインプレイを楽しんでいる様子が紹介された。
オンラインゲームというと、「操作から画面表示というフィードバックが返ってくるまでの"ラグ"が気になる」というユーザーも多いだろう。NVIDIAによれば、ゲーム処理のパイプラインを半分程度に圧縮することで、実際に感じられるラグはほとんどなくなっているという。具体的な処理内容は不明だが、「回線品質のベストケースではほとんど気にならないレベル」になっているらしい。これについては別途改めてレポートで紹介していこう。