冒頭でも説明したとおり、TZ30でもっとも気になるのはLEICA DC VARIO-ELMARの性能だろう。まず、24mm側は風景撮影にもってこいの超広角ながら描写は非常に素直。歪曲や収差はほぼ見受けられず、逆光にも滅法強い。試しに意地悪く真逆光で撮影もしてみたが、驚いたことに、ゴーストもフレアもまったく見受けられなかった。これはどうやら、パナソニック独自の新開発ナノサーフェスコーティングの威力らしい。一応「LEICA」ブランドを名乗るレンズに「パナソニック独自の~」は「えっ?」と思わなくもないが、ものすごい性能であることは違いない。
一方、望遠側も優秀だ。コンデジのズームレンズで、ましてや480mmとはとても思えないほど画像の破綻がなく、ディテールのにじみも少ない。収差も極限まで抑えられている。この画質の良さはレンズの力と新開発の高感度CMOSセンサーによる高速AF、そして強力な「新・手ブレ補正(POWER O.I.S.)の賜だろう。TZ30を持って旅行に行けば、撮れない風景はないのではないかとすら思えてくる。
望遠側で、入線してくる江ノ電を撮影。前照灯がほぼ正面にありながら、ここまでフレアが抑え込まれているのは見事というほかない |
超解像iAズームを使って40倍ズーム撮影に挑戦。画質が悪いと思うのは早計。実は焦点距離が長すぎて、空気の揺らぎ(陽炎のような状態)が写ってしまうのだ。すごい! |
TZ30は、高速・高画質処理を実現するために、4つのCPUを搭載している。そのおかげで、高速連写や超解像技術、ノイズリダクションなど、複雑な演算処理にも素早く対応できるのだ。そこで、秒間10コマの高速連写で、通過する江ノ電を狙ってみた。電車は直線的に移動するので撮りやすい被写体ではあるが、フレームにキレイに収めるのはなかなか難しい。
電車が来る前にアングルを決めてカメラを構え、早めにレリーズボタンを押下する。「カカカカカ……」と指に伝わる高速シャッターの響き。で、撮れたのが下の作例というわけだ。これなら動体視力も反射神経も必要とすることなく、拍子抜けするくらい簡単に上手な車両写真が撮れる。しかも、TZ30の秒間10コマ連写は電子シャッターでなくメカシャッターなので、高速移動する被写体でも、その形状が歪むことがない。やっぱり、電車を撮るならメカシャッターの高速連写に限る!
なお、高速連写時は、処理速度を重視したマルチプロセスNR(ノイズリダクション)が適用されており、撮影画像を暗部と明部に分けて処理、それぞれの明るさに合わせ複数回に分けてノイズを抑制しているとのこと。また、高速連写はパノラマ撮影や3D画像撮影(閲覧には「3Dビエラ」が必要)、「i手持ち夜景」などの撮影モードでも利用されている。他社も含め、高速連写合成で豊富な機能を実現しているカメラが大きな話題となっているが、これは今後もコンパクト機のひとつの潮流になりそうだ。