登壇するHongyi Zhou氏

続いて、Qihoo 360 Technology社 CEOのHongyi Zhou氏が登壇。同社の紹介と今後の事業戦略について語った。Qihoo 360 Technology社は中国において月間のユニークユーザー数が4億人を超える中国第2位のインターネットサービス企業。中国で初めてセキュリティソフトを開発した会社としても名が知られており、中国国内の93.8%のユーザーが同社の何らかのサービスを利用しているという。近年、モバイルの分野でもセキュリティに力を入れており、ユーザー数は7,000万人を数えるとのこと。今回のTapnowマーケットのセキュリティを担うのも、同社のシステムだ。

Tapnowマーケットの特長のひとつは、日中間でDRM(デジタル著作権管理)とソフトの共通化が図られている点。同氏によれば、「中国では著作権の意識も高まってきており、ここ数年来、コンテンツにお金を払う習慣が一般化してきた」とのことだった。Tapnowマーケットを利用するコンテンツデベロッパーには有料コンテンツの販売をスムーズに行えるようにSDKが配布され、アプリ登録の手続きも簡略化が図られている。これらの施策により、コンテンツホルダーは安全でスピーディに日中両国にコンテンツを配信することができるとのことだった。同氏は「中国では、まだPC/スマートフォンの所有ユーザーが増加している最中。1ユーザーあたりがアプリにかける金額も年々伸びており、大きなビジネスチャンスが残されている」と話す。最近の調査によれば、米アップル社が収益をあげている国として、中国がアメリカを抜くことが確実視されているという。

同氏は最後に「中国にはユーザー数が数億人いるので、大きなビジネスチャンスにつながる。ぜひ、多くの方に我々のチャンネルを利用していただきたい」と日本のコンテンツホルダーにTapnowマーケットの利用を呼び掛けていた。

Tapnowマーケットを利用すれば、中国のコンシューマーに直接コンテンツを提供できる

最後に、質疑応答の時間がもうけられた。ドコモやauが提供しているマーケットとどう差別化を図るのか、という質問には楠氏が「通信キャリアが提供するマーケットは掲載基準が厳しく、選ばれた企業のアプリしか掲載できない。Tapnowマーケットでは登録手続きの簡略化が図られており、かつ独自の課金システムも利用できる」と答えた。マーケットへのアプリ提供が簡単であれば心配されてくるのが安全性についての問題だが、これについては「セキュリティ会社である360のノウハウが活かされる」とのことだった。

初期段階では日本のアプリを中国にも提供できるようになることがメリットだが、将来的には逆のパターン(中国人の開発したアプリを日本のユーザーが購入する)もありえるという。今後、翻訳や許認可申請などの支援を行う考えもあるとのことで、「ニーズを見極めて、適宜付帯サービスの追加を行っていきたい」とのことだった。販売手数料の分配はどのくらいの比率になるか、という質問には「基本的にはiTunes、Google Marketに準じて30%くらいで想定している。あとはコンテンツホルダーさんとの調整になる」との答えだった。