「環境依存文字」は、ほかのコンピューターで文字が正しく表示されるかの設定。最近の日本語入力ソフトはそれなりに賢いが、ブログ記事を執筆する上で適切でない機種依存文字を誤って使ってしまう危険性がある場合は有効にしておこう。

また、「印刷標準字体」は、国語審議会答申の「表外漢字字体表」において、新聞や雑誌などで利用されている使用頻度の高い1022字。この中で、使用しても基本的には差し支えないとされている字体を定義したものが「簡易慣用字体」となる。

そして印刷標準字体の字形に対して、字形の異なりを字体の違いと考えなくてもよいと判断された「デザイン差」を指摘する設定だ。ブログ記事を前提とすれば、あまり重要ではないものの、印刷を前提にした文書の場合はチェックしておいて損はない(図23~24)。

図23 外字や機種依存文字の使用をチェックする「環境依存文字」

図24 さまざまな定義を元に印刷向きでない文字をチェックする「印刷標準字体」

このほかにも「スペルチェック」や「括弧」といった設定が用意されているものの、重要なのは「表記ゆれ」ぐらいだ。ベースにする校正設定が「すべて」の場合、いずれも有効になっているので、そのまま校正作業に使用し、不要な指摘が出る場合は個別に無効もしくは設定変更を行うことで、適切なチェックツールとなるだろう(図25)。

図25 表記ゆれチェックを行う「表記ゆれ」。Just Right!4の主力機能だけに必ず有効にしておこう

これらの設定を行うことで校正作業が行えるようになるが、合わせて意識したいのがユーザー校正辞書とスペルチェック用辞書の存在だ。いずれもユーザーの校正作業中に認識しない単語が現れた際に操作をうながされるが、辞書への登録作業を実行することで、タイプミスや誤字を防ぐことができる。また、各辞書管理ツールは、テキストファイルや同社の日本語IMEであるATOK辞書からの一括登録機能が備わっているため、日常的に使用する単語を事前に登録すれば、校正作業の精度はより高まるはずだ(図26~27)。

図26 校正作業中に登録した英単語を管理する「スペルチェック用辞書ユーティリティ」。筆者は標準辞書に登録されていない製品名やレジストリ値を登録している

図27 校正作業中に用いられるユーザー辞書を管理する「校正用辞書ユーティリティ」。ここに単語を登録しておくことで、誤字として判断されなくなる

このように適切な設定を行うことで、Just Right!4は作成した文書を校正する際の強い味方になることはおわかりいただけただろう。できることなら文書に携わる方全員にお勧めしたいため、少々古いソフトウェアだが今回取り上げることにした。実に優れたソフトウェアであるが、唯一のネックとなるのが価格である。同社が運営するオンラインショップでは、26,460円という個人が気軽に購入できる価格設定ではない。

そもそもJust Right!4はビジネスユーザー向けのパッケージであるため、このような価格になるのは致し方ないものの、冒頭で述べたように現代は多くのユーザーが自身のWebサイトやブログといった文書に携わっている。しかし、正しくわかりやすい文書を生み出すのは骨の折れる作業であるだけに、より優れた文書を生み出したいと考える方は本ソフトウェアの活用を検討してほしい。

阿久津良和(Cactus