ICSへのアップデートは
昨年のCESで発表されたXperia arcは、最新技術へキャッチアップするという意気込みで、当時最新だったAndroid 2.3(Gingerbread)へいち早く対応してきた。今回は、現在最新のAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich:ICS)には非対応となっている。
この点について問われた黒住氏は、「今回の開発スケジュールでは、ICSに対応できるようにするタイミングで、ICSにアクセスできなかった」とコメント。問題を残しながら無理に搭載するよりも、きちんと対応できる段階で搭載することを選んだという。
もちろん、春以降に今後のICSアップデートは予定しており、既存モデルのICSアップデートも行う。
「ICSはUIのフレームワークが変わっているが、それを生かしつつもソニー・エリクソンらしさを入れていくことができる」と黒住氏は話している。
さらに速くなったXperia
スペックとしては、Xperiaでは初めてデュアルコアCPUを採用。黒住氏はその効果について、「動きが速くなったことに尽きるが、速くなればなるほどいいわけではない」という。単に速いのではなく、「ユーザーが求めているものを、できるだけ効率よく使うことができるか」が重要で、デュアルコアによってこれが実現できていると話す。
黒住氏は、今まで、プロセッサ能力の問題で、「実験はするけどパーフェクトではないのでやめたアイデアは多少ある」ものの、「デュアルコアだからとそうしたアイデアをやろうとすると、デュアルコアだからもっと効率よくしようと作り込む感じになった」ことで、より良いものが出来上がったという認識を示す。
「これまで、ギャラリー系は他社に比べて弱かったが、デュアルコアでスピード感は改善され、ようやく追いついてこれた」と黒住氏。
カメラ機能も大きく機能強化。特に起動速度や撮影間隔が高速化し、画面オフからカメラボタン長押しでカメラ起動から撮影までできるFast Capture機能も搭載した。こうしたカメラ機能の強化には、「ユーザーの要望もあったが、ユーザーが求めるだろうな、というものの半歩先を提供したい」という意識で取り組んでいるという。
Xperiaの開発ではソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」の部門とも交流しているが、黒住氏は、「携帯は専用機ではないから起動が遅い」といわれてきたという。そのため、「デジカメの0.3~0.5秒の立ち上げ(時間)に近づけたらどうなるか」と考えた黒住氏は、1秒で起動する「1 sec capture」を設定して開発を進めたそうだ。その結果、現在は「1.3~1.5秒ぐらい」まで高速化できたということだ。
Xperia arcではボディの端、横持ちしたときに中央からやや上の位置にカメラを配置したが、Xperia Sではボディの端、横持ちしたときに中央に位置する場所になった。これは「非常に気を使ってシンメトリカルにした」ということで、NFCのアンテナとの干渉を避けるために、ボディの端に配置したという。