コンピューターの歩みはテキストエディターのそれと同じです。テキストファイルの作成や編集に欠かせないテキストエディターは、現行のOSであるWindows 7のメモ帳やMac OS XのTextEditのように標準搭載されていることからも、その重要性を理解できるでしょう。「世界のテキストエディターから」では、Windows OS上で動作する世界各国のテキストエディターを不定期に紹介していきます。今回はマウスジェスチャーなどユニークな機能を持ちながら実用性を備える国産テキストエディター「gPad」を紹介します。

世界のテキストエディターから

純国産テキストエディター「gPad」

世の中に完ぺきなテキストエディターは存在しません。それは人によって味の好みが異なるように、テキストエディターに求める機能も使用するユーザーによって異なるからです。そのため、コンピューターがまだメインフレーム(大型汎用コンピューター)と呼ばれていた時代から数多くのテキストエディターが生まれてきました。

改めて述べるまでもなく、一定レベルの進化を遂げた現在のコンピューター向けにも数多くのテキストエディターが存在し、ユーザーは自身の好みに応じてテキストエディターを選択しています。また、足りない機能はマクロ機能や外部のソフトウェアを組み合わせ、様々な文書やソースコードを書いている方も少なくありません。つまり、ユーザーは指先が好むとおりにテキストエディターを選択できる素晴らしい状態なのです。そんなテキストエディターの選択肢として加えたいのが、長い月日を経てバージョン1.0に達したUH氏作の国産テキストエディター「gPad」。公式サイトを確認すると2009年5月がもっとも古いエントリーですが、開発自体は2008年4月から始められ、約四年の月日を経て現在のバージョンに至っています(図01)。

図01 grep機能が魅力的な「gPad」。執筆時点の最新版はバージョン1.0.0aです

ブログやWikiで作者が述べているように、grep結果をドッキングウィンドウに表示するのが一番の特徴。そもそもgrepとは、対象となるテキストから文字列や正規表現に一致する行を検索して出力するUNIX系のコマンドです。使ったことがある方ならご存じのとおり、大量の文書から特定文字列を呼び出す機能は、執筆でもソフトウェア開発でも欠かせない機能なだけに、作者はgrep機能に特化したテキストエディターの開発を始めたのでしょう。

もちろん機能はこれだけではありません。アウトライン機能やCSV/TSV(カンマやタブで区切ったテキストデータ)モード、WSH(Windows Script Host)を用いたファイルやテキストエディター本体の操作などを備えています。また、風変わりな機能としてマウスジェスチャーを搭載しているため、通常のテキストエディターとしては一風異なる使用感を楽しめるのではないでしょうか。今回はこの「gPad」を取り上げ、同ソフトウェアの使い方やカスタマイズポイントなどを探っていきましょう。