Core i7-2700Kとほぼ同等、一部で上回る結果を残す

比較対象として用意できたのは、Core i7-3960XとCore i7-2600Kだが、先の仕様表を見ればお分かりの通り、どちらもCore i7-3820と比較するにはスペックが違いすぎる。そこで、Core i7-3960Xは3930K相当に設定(L3の違いは目をつぶる)、Core i7-2600Kは2700K相当に設定(VDDは変更しない)してテストを行うこととする。ほか主なテスト環境は以下のとおりだ。

テスト環境
CPU Core i7-3820 Core i7-3930K(仮) Core i7-2700K(仮)
CPU Clock(Turbo) 3.6GHz(3.9GHz) 3.2GHz(3.8GHz) 3.5GHz(3.9GHz)
Motherboard Intel DX79SI MSI Z68MA-ED55
Chipset Intel X79 Express Intel Z68 Express
Memory GeIL GP38GB1600C9DC (DDR3-1600動作 4GBx4)
GPU Radeon HD 5970
HDD/SSD PLDS PX-128M2P 128GB
OS Windows 7 Ultimate 64bit SP1

まずPCMark 7は、Overallで見るとほとんど差がつかなかった。しかしテストの詳細を見ると、多少の差が確認できる。明確な違いが出たのはComputationで、6コアの仮想Core i7-3930Kが1番だが、それに続くのがCore i7-3820で、仮想Core i7-2700Kとも明確な差を付けている。

CINEBENCH R11.5もCPU性能を見るテストだが、Multi CPUで若干の違いが出た。仮想Core i7-2700Kが7.08に対し、Core i7-3820は7.21である。全コアTurbo Boostでの違いが表れたのではないだろうか。一方で、Single CPUでは3.9GHzまで上昇するはずのCore i7-3820が3.8GHzまでのはずの仮想Core i7-3930Kと変わらないスコアとなった。誤差という可能性もあるが、Turbo Boostの効きが悪かったという見方もできる。

一方、TMPGEnc Video Mastering Works 5のトランスコードテストでは、Core i7-3820が仮想Core i7-2700Kに対し約15秒ほど速かった。CPUによるソフトウェアエンコードであり、Core i7-2700KがQuick Sync Videoを使えばまた違った結果になると考えられるが、ソフトウェアエンコードで画質にこだわる方にとっては注目だ。

3DMark 11は、こちらもOverallではほとんど差がつかなかった。違いが出たのはPhysicsテストで、この結果でもマルチスレッディング時のCore i7-3820はCore i7-2700KよりもCPU演算性能自体は高いと言えそうだ。

一方で、実際のゲームにおけるテストとして計測したCrysis 2では、誤差以上の差は出なかった。Turbo時のクロックの差が小さいし、シングルGPUで用いる範囲ではGPU側がボトルネックとなる状況の方も多そうである。

消費電力は、比較用CPUがどちらも仮想、さらにマザーボードを統一していないため参考程度になる。しかしまずCINEBENCH R11.5のMulti CPUを実行した際のピーク値では仮想Core i7-3930Kに対し40W以上低い値となった。Core i7-3960Xや3930Kに対してはコア数が少ないぶん消費電力が少ないだろうことは予想できる。実際にはTDP 95Wとさほど変わらないのではないだろうか。TDPが130Wというのは、Turbo Boostを考慮してのものである可能性も考えられる。

一方、アイドル時も若干低い結果が出た。ただし仮想Core i7-2700Kよりも20W以上低いという値は、これはマザーボードやCPUクーラーの違いが出てしまっているのではないだろうか。確かにSandy Bridge-Eは優れた低消費電力機能を備えているが、逆転するほどとは考えにくい。ただし20W程度をシステムレベルの消費電力差として考慮しつつ、ピーク時を見てみると、消費電力的には同じ4コアでクロックも近いCore i7-2700Kとさほど変わらない。消費電力と熱、電源と冷却に関してはTDP 95Wレベルで計算して良さそうだ。