Intelが第3のLGA2011ソケット向けプロセッサ「Core i7-3820」をリリースする。現時点では2012年の第1四半期の登場とのみ予定が伝えられており、具体的な発売日や価格等は未定のままだが、編集部で同製品のサンプルを入手することができたので、まずは性能を検証してみたい。

4コア版Sandy Bridge-EはCore i7-2700Kの上位製品!?

「Intel Core i7-3820」。エンジニアリングサンプル(ES)であるため製品版の刻印とは異なるが、3.60GHzという文字が確認できる

まずはCore i7-3820とLGA2011ソケットのプロセッサ、LGA1155ソケットプロセッサの上位モデルで仕様を比較してみよう。

■仕様比較
型番 Core i7-3960X Core i7-3930K Core i7-3820 Core i7-2700K Core i7-2600K
コードネーム Sandy Bridge-E Sandy Bridge-E Sandy Bridge-E Sandy Bridge Sandy Bridge
コア数 6 6 4 4 4
スレッド数 12 12 8 8 8
動作周波数(GHz) 3.3 3.2 3.6 3.5 3.4
ターボ時最大クロック(GHz) 3.9 3.8 3.9 3.9 3.8
L3キャッシュ(MB) 15 12 10 8 8
製造プロセス(nm) 32 32 32 32 32
TDP(Watt) 130 130 130 95 95
DDR3メモリ(MHz) 1600 1600 1600 1333 1333
チャネル数(Ch) 4 4 4 2 2
ソケット LGA2011 LGA2011 LGA2011 LGA1155 LGA1155

Core i7-3820は、製品モデル名の末尾に「X」や「K」が付かない。恐らくは、とくにOCをうたう製品ではないのだろう。また、コア/スレッド数も4コア8スレッドに抑えられている。共有L3キャッシュも10MBと、Sandy Bridge-Eのラインナップ中では最も少ない。

動作クロックは定格が3.60GHz、Turbo Boost時が3.90GHzとなる。クロックだけ見ると、定格がCore i7-3960Xより高く、Turbo Boost時は同等だ。厳密に言えば、Core i7-3960Xの4コア使用時のTurbo Boostクロックは3.70GHzと設定されているため、同じ4コア使用時では100MHzぶん劣るとみられる。

一方で、動作クロックで見ればCore i7-2700Kともスペック的に近い。Core i7-2700Kは定格が3.50GHz、Turbo Boost時が3.90GHzとなり、定格クロックで見ればCore i7-3820の方が100MHz高いが、Turbo Boost時は同クロックとなる。ただし、その他のスペックでは大きく異なる。

まずL3キャッシュがCore i7-3820は10MB、Core i7-2700Kはそれより2MB少ない8MBである。また、Core i7-3820はメモリが4chであり、動作モードも標準でDDR3-1600に対応する。Core i7-2700KはデュアルチャネルでDDR3-1333までのサポートだから、メモリ帯域ではCore i7-3820が大きく優位に立つ。さらに、PCI Expressレーン数でも40レーン対16レーンで倍以上の違いがあり、これはマルチGPU構成時のレーン数に影響してくる。ただ、一方でTDPを見れば130W対95Wでより高いことになり、GPU非統合でディスクリートGPUが必須であるし、当然Quick Sync Videoも利用できない、といった点でも性格が異なる。

CPU-Zスクリーンショットから見たCore i7-3820。3.90GHzの瞬間をキャプチャするのはなかなか難しい。スペック上のポイントはLevel 3キャッシュが10MB、Coresが4、Threadsが8といったところ