Gowを使用する際の注意点

GowをメインのUNIX風コマンド環境として使用する上で、注意しなければならない点がいくつかあります。例えばgrepやtailといったコマンドが日本語に完全対応しておらず、「grep 阿久津 hoge.txt」といったコマンドはとおりません。また、「grep Windows hoge.txt」と英字だけでの構成でも、「grep: writing output: No space left on device」というエラーメッセージが表示されます。

これは、標準出力先の空き容量が足りないという意味ですが、コンソールに対するバッファが不足していることは考えにくいため、何らかの設定不足かソフトウェア側の問題なのでしょう。文字コードの問題なのかと、あれこれ試してみましたが、執筆時点では解決方法を見出すことができませんでした。しかし、この問題を解決しないと前述のコマンドは使用できないため、Gowが意味をなさないことになります。

また、各コマンドのバージョンが若干古いのも気になる点です。例えばVimは7.3.xが執筆時点での最新版ですが、Gowに含まれているのは6.3。もちろん新しければ良いというわけではありませんが、Linuxのようにパッケージ配布システムや自身でコンパイルする環境は含まれていませんので、その点を気にされる方もおられるでしょう。

確かにGowは、コンピューター初心者でも使いやすいようにパスが自動設定され、使用するコマンドも最小限に抑えられているため、導入版としては優れたUNIX風環境です。しかし、日本語を使用する場合、国際化に関する実装が現時点では乏しく完全ではありません。その点を考慮した上で使用するのであれば、手軽に使用できるUNIX風環境の選択肢に数えてもよいのではないでしょうか。

Gowは2010年7月に最初のパブリックバージョンが公開され、2010年7月に次のバージョンとなる0.4.0。そして今年の2011年11月に0.5.0が公開されたばかりで、公式サイトのChangelogを読む限り、発展途上のソフトウェアなのでしょう。現時点ではCygwinのコマンドを呼び出した方が安定しています。しかし、前述のようにGowが備える利点は重要ですので、今後に期待すべきでしょう。