新しいUNIX風環境「Gow」を導入する
さて、このようにWindows OS上にUNIXの使用環境を提供するソフトウェアは少なくありません。現在でもUNIX実装を行うプロジェクトは大小かかわらず進んでいますが、なかでも興味深いのが「Gow(Gnu On Windows)」。公式ページにあるとおり、"軽量なCygwinの代替"となるソフトウェアです。
注意:本稿では、ソフトウェアのインストールを行っていますが、ソフトウェアの利用は使用者の責任で行ってください。
そもそもCygwinはWindows OS上でUNIX風の環境を実現するためのソフトウェアとして開発が進められており、その正確から肥大化する傾向にありました。X Window Systemを実装するため、Cygwin/Xも提供されるようになり、当初のように"ちゃんとしたgrepが使いたい""xargsで複数ファイルの操作を簡単にしたい"といった目的にはオーバースペックです(図04)。
そこでGowでは、展開するコマンドを130種類程度に絞り込み、消費するディスク容量も10MB程度に抑えられています(CygwinはX Window Systemなどの展開も行うと5GB程度も消費します)。“Cygwinを入れるほどではないが、UNIX風のCUI環境が欲しい”という方は、一度このGowを試してみましょう。
それではGowのダウンロードおよび導入に取りかかります。まずは公式サイトのダウンロードページにアクセスし、最新版のGowをダウンロードしてください。執筆時点ではバージョン0.5.0が最新でしたが、基本的に最新版を選択しましょう(図05~06)。
セットアッププログラムは、一般的なソフトウェアと変わらず、ユーザーの取捨選択が入るのはコンポーネントの選択ぐらいでしょうか。ここでは、対象となるフォルダーからコマンドプロンプトを起動する<Command Prompt Here>をコンテキストメニューに加えるか否かの選択が可能です。筆者はコンテキストメニューの項目が増えるのを好ましく思わないためチェックを外しましたが、ご自身のお好みで選択してください(図07~11)。
図08 コンポーネントの選択は初期状態のままで問題ありません。フォルダーのコンテキストメニューに<Command Prompt Here>を加えたくない場合は、同項目のチェックを外してから<Next>ボタンをクリック |
これでGowのセットアップが完了しました。自動的にシステム環境変数「Path」へセットアップ時に選択したフォルダーが登録されるため、そのままコマンドプロンプトを起動すれば、Gowのコマンドが使用可能になります。正しく動作しているか確認するため、コマンドプロンプトを起動して「which ls.exe」と実行してください。通常は「C:\Program Files (x86)\Gow\bin\ls.exe」などGowのパスを含む文字列が表示されます(図12~13)。
図13 コマンドプロンプトが起動したら、「which ls.exe」と入力して[Enter]キーを押してください。「C:\Program Files (x86)\Gow\bin\ls.exe」などGowのパスを含む文字列が表示されればOKです |
whichコマンドは引数として与えたコマンドがどのフォルダーに格納されているか確認するためのコマンドですが、「which: no ls in~」と発見できなかった場合はタイプミスを疑いましょう。「~は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません」というエラーメッセージが表示された場合は、セットアップ側の問題かもしれません。再セットアップを行うか、システム環境変数「Path」を確認してください。