続いて行うのはGNU nanoの設定ですが、本来はUNIX系OSで使われるコマンドのため、/etc/nanorcや${HOME}/.nanorcを設定ファイルとして読み込む仕組みになっていますが、Windows OSはディレクトリ(フォルダー)構成が異なります。ZIP形式ファイルに内包されたREADME.txtを読むと、%USERPROFILE%.nanorcファイルを参照すると書かれていますが、筆者が試したところ、設定が正しく反映されません。

Process Monitorで参照しているファイルを確認しますと、%USERPROFILE%\usr\local\etc\nanorcが呼び出されているため、同ファイルを対象に編集を行いましょう。ここでは変化を確認するために、表示文字を太字にする「set boldtext」を有効にします。nanorcファイルに記述された設定内容は、大半がコメントアウトされていますので、「#」を削除して有効にしてください。再度GNU nanoを起動すればタイトル部分やヘルプメニューの背景色がなくなります。これはusr\share\terminfo\63\cygwinで定義されている表示情報がコマンドプロンプトのそれと異なるために起きる現象。ひとまず変更内容が正しく反映されるかを確認してください(図16~20)。

図16 コマンドプロンプトを起動し、「nano usr\local\etc\nanorc」と入力して[Enter]キーを押します

図17 GNU nanoが起動したら「set boldtext」のコメント(#)を削除し、[Ctrl]+[X]キーを押してください

図18 保存の確認をうながされますので[Y]キーを押してください

図19 保存オプションの選択をうながされますが、ここでは変更する必要がないので[Enter]キーを押してください

図20 再び図16のコマンドを実行してください。GNU nano 2.2.6と書かれたタイトルバーや画面下部のヘルプが変化しています

nanorcの編集結果が反映されたら、図21を参考に好みのカスタマイズを行ってください。お勧めは自動インデントを有効にする「set autoindent」やファイルのバックアップ機能を有効にする「set backup」といったオプション。後者は編集中のファイルと同じフォルダーの末尾に「~」を付けたバックアップファイルを作成します。本来であればバックアップファイルの保存先を指定する「set backupdir」も併用したいところですが、あくまでもWindows OS向けGNU nanoはCygwinのバイナリとして動作しているため、ディレクトリ構成の相違から正しく動作しませんでした(図21)。

図21 GNU nanoで使用できる主な設定オプション

なお、nanorcでは一部の言語に対して自動は移植を行うシンタックスカラーリングファイルが用意されており、PerlやPHPなどはあらかじめ有効になっています。日本語文書に対するカラーリングはさすがに難しそうですが、ちょっとしたスクリプトを書く場合は、対応する言語のシンタックスカラーリングファイルを有効にしてください(図22~23)。

図22 シンタックスカラーリングファイルを有効にするには、オプション設定と同じくコメントを削除します

図23 シンタックスカラーリングファイルは、usr\local\share\nanoフォルダーに格納されています

このようにGNU nanoは、簡易的なテキストエディターとして様々なOSに用意されていますが、日本語文書を作成することを前提にするとあえて選択する必要はないテキストエディターです。それでも、vi系のキーアサインに慣れないものの、小気味良く動作するテキストエディターが欲しいという方には有用なツールになるのではないでしょうか。

また、Windows OSだけでなく各Linuxディストリビューションを併用する場面が多いユーザーなら、同じテキストエディターを使用するメリットは計り知れません。Cygwin経由で起動しているため、うまく動作しない場面がない訳ではありませんが、国内外を問わずにテキストエディターを愛する方は一度お試しください。

GNU nanoの紹介は以上です。ナビゲーターは阿久津良和でした。次回もお楽しみに。

阿久津良和(Cactus