D-Cache Latency(グラフ29~48)

次に、D-Cache/RAM Latencyの結果(グラフ29~32)を見てみた。これを見ていただくと、なんとなくAMD FXが振るわない理由のひとつが明確にわかる気がする。それは、L3キャッシュのLatencyの悪さだ。特にForward/Backwardでは、Memory AccessよりL3 Accessの方がLatencyが大きいという、ちょっと理解しがたい結果が出ているのが判る。

構造的に見れば、L3はSRQからMemoryとは別に接続される形になっており(Photo03)、余分なブロックを介しているから遅くなるといった事は考えにくい。となると、これはL3そのものが遅い、と判断するしかないように思える。もっともグラフ31/32を見ると、Random/Pseudo-RandomにおけるL3のLatencyはメモリアクセスよりは改善されており、全く意味がない訳ではないこともここから見て取れる。

Photo03: この構造そのものは、Phenom IIまでと大きく変わるわけではない(勿論コントローラの数などは違うのだが)。

またL1~L2に関しても、AMD FXのLatencyは決して少なくない。Forwardの場合、L2で4cycle、L2で12cycle弱といったあたりで、これは性能ベンチマーク編におけるLinearのCache Latencyとも矛盾しない。