深夜0時直前、テレビの画面に突然現れる謎の美少女。彼女に出会える時間はわずか10秒。明るく、可憐に語りかける彼女の言葉は、癒しとなって視聴者の心を洗う……。
全国のケーブルTVやスカパー!などで視聴可能なCS放送局「キッズステーション」にて、2011年8月1日より毎日深夜0時直前に放送中の『60日のシンデレラ』は、人気イラストレーターと若手声優による新しい形のコラボレーションとして生み出された作品。イラストは、「月刊少年シリウス」(講談社刊)で『銃姫 -Phantom Pain-』を連載中の椋本夏夜(くらもと かや)氏、声はTVアニメ『ゆるゆり』の吉川ちなつ役などでおなじみの大久保瑠美が担当している。
まさにシンデレラのごとく、毎夜現れる少女の意味するものははたして何か? そこで今回は、イラスト担当の椋本夏夜氏と本作のプロデューサーである稲垣高広氏に、『60日のシンデレラ』の狙いと魅力について語ってもらった。
椋本夏夜氏と稲垣プロデューサーが語る『60日のシンデレラ』
――まずは今回の企画をスタートさせた経緯を教えてください
稲垣プロデューサー「私自身、アニメーションには20年近く関わっているのですが、それとは別に、数年間、ライトノベルの仕事をしたことがありまして、そのときに椋本さんをはじめ、いろいろなイラストレーターの方にお世話になったんですね。そのときに感じたのが、こんなに素敵な絵を描いていただいているのに、アニメーションにすると、その魅力のすべてをお伝えすることができないということなんです。どんなに素晴らしいイラストであっても、アニメーションとして動かすためには、やはりいろいろな制約が出てしまうので」
――イラストのイメージをそのままアニメにするのは難しいですよね
稲垣P「これは本当にもったいない。それ以来、どうすれば原点に近いピュアな魅力をテレビ放送で表現できるのか、ということをずっと考えていて、思いついたのが今回の『60日のシンデレラ』なんです。イラストレーターさんに自由に描いていただいたイラストに、声優さんの声をあてる。アニメとはちがう形で、そんな番組ができたらいいなと思って企画を出してみたら、思いのほか簡単に通ってしまいまして(笑)」
――実際に企画してからどれくらいで実現しているのですか?
稲垣P「普通、アニメーションを作る場合は、それこそ何年がかりという感じになるのですが、今回の企画は提案から2カ月ほどで放送までこぎつけています。ただ、今回の企画はイラストがすごく重要な要素となっているので、もし椋本さんにお願いしてダメだったら、もう少し開始が遅れていたかもしれません。すごくお忙しいのを知りつつも、なんとかやってもらえないかとお話してみたところ、ギリギリねじこめば何とかなるスケジュールということだったので、無理矢理お願いしました(笑)」
――なぜ椋本さんだったのですか?
稲垣P「やはり椋本さんの絵が、アニメーションで再現するのが難しい絵だったというのが大きいですね。塗りの繊細さ、タッチのトーン。このあたりはどうしてもアニメーションでは表現しきれない。今回の企画では、アニメーションで簡単に表現できる絵だと、あまり意味がない気がしていて。通常のアニメでは表現できない魅力、それを視聴者の皆さんに観ていただきたいという気持ちからも、椋本さんにお願いしたかったんです。椋本さんの絵は華やかですし、男性にも女性にも人気がある。そこも大きなポイントになったと思います」
――稲垣さんの希望通り、椋本さんがお引き受けになったことで、企画が実現したということですね
稲垣P「ちょうどお願いしたころ、椋本さんは『銃姫』の単行本を出すタイミングということで、かなりお忙しいと聞き、内心ヒヤヒヤしていたのですが、何とか引き受けていただけて、ありがたかったです」