――監督は愛菜ちゃんとどのような会話をされましたか?

SABU「それが挨拶以外、ほとんどしなかったんですよ。話す時も完全に敬語でした(笑)。愛菜ちゃんは人気者だし、ほっといてもみんなが集まってくるので心配ありませんでしたね。ですから一応、監督である以上『ちょっとコワい大人』くらいのイメージでいた方がいいかなと」

――演出的には、物語に突然挿入されるダイキチとゆかり(香里奈)のダンスシーンが印象的でした。

SABU「香里奈さんは声のトーンが大好きですね。今回演じられたゆかりは彼女の素に近い役どころだったと思いますので、演技しやすかったのではないでしょうか。それにやっぱり美男美女は画になるんですよ。ダンスシーンはプロデューサーから『SABU作品らしい面白い仕掛けをを入れて欲しい』とリクエストされ、それならばダンスにしようと。演出的にはダイキチの膨らんだ妄想の象徴としてという意味合いもありますが、個人的にダンスシーンが好きなんです(笑)」

――SABU監督らしさといえば、走るシーンもふんだんに登場しますよね。

SABU「走るシーンも個人的に好きなんです(笑)。それに自分の作品のトレードマークみたいなものだし、こだわりはありますね。ただ、今回のダイキチの走りには『送り届ける』とか『探す』とかいう目的がちゃんとあるところが特徴だと思います。ちなみに、子供をだっこして走るシーンを撮ったのは今回が初めてでした。松山くんは走るのが早いし、常に本気なので転んだりしないかヒヤヒヤもんでしたけど、しっかり走ってくれました」

ダイキチの妄想シーン

SABU監督の演出ではおなじみの主人公が走るシーンも盛り込まれている

――どうして監督はそこまで『走り』にこだわるのですか?

SABU「単純にビジュアル的にかっこいいじゃないですか。それに、みんな子供の頃って特に理由もなく走ってましたよね。僕自身、小さい頃は走りまくって転びまくってましたし。それがいつの間にか走らなくなってしまった分、大人になって人が走っている姿を見るとなんかグッとくるというか。そう言いながら、こないだ買い物先で子供が『トイレ行きたい』って言うから、トイレを探して走りまくりましたけどね(笑)」

――SABU監督自身、子を持つ親として、今回の作品では撮影しながらいろいろ思うところがあったのではないでしょうか?

SABU「自分は普通のサラリーマンじゃないので、子供と一緒にいる時間も長い分、けっこういろいろなコトやってるなとあらためて思いましたね。ダイキチなんてまだまだやな、と(笑)。ただ、俺は俺で勝手なことしてるというか、子供の相手はするけど自分のこともしっかりやってますからね」……続きを読む。