5,000台限定の特別モデルでは、GLOBE-TROTTERのトラベルケースに使われている素材と同じヴァルカン・ファイバーを使用したリアカバーを同梱。16層の紙を樹脂で圧着させ、丈夫でありながら軽量化した素材は独特な風合いで、トラベルケース同様、1点1点、職人が手作業で製造しているそうだ。そのため、「5,000台以上は作れない」(GLOBE-TROTTER日本支社長・田窪寿保氏)ことから、限定の特別モデルとして発売する。
富士通とGLOBE-TROTTERは、2009年から連携してデザインをスタートさせ、「ほぼ1,000人がかかわった」(同)という大型のプロジェクトだったようだ。「100年愛される普遍的なデザイン」(同)をコンセプトに、2年にもわたってデザインをしてきたそうだ。GLOBE-TROTTERはこれまで、ファッションブランドなどとはコラボレーションしてきたが、携帯のデザインをしたのは今回が初めてだった。
英国のエリザベス女王時代から同じ作り方、機械で作られているというGLOBE-TROTTERの製品は、「最大の強みは普遍性」(クリエイティブディレクター ギャリー・ボット氏)だが、「世界は変わり続けていて、新たな道を切り開くとき」(同)だからこそ、富士通との協業を下という。
今回の特別モデルでは、ボディのラウンドフォルムに合わせてヴァルカン・ファイバーを折り曲げる行程が難しかったそうで、200度に熱して適度な曲線を作り出すのが苦労したそうだ。さらに曲線部分にリベットを打ち込んでいるが、単なるデザインではなく、割れなどを防ぐ実用的な役割を担っているそうだ。
なお、特別モデルでは、カラーと手触りをヴァルカン・ファイバーに近づけたClassic Orangeカラーのプラスチックカバーも同梱。ヴァルカン・ファイバーは、GLOBE-TROTTERのケースと同じく水濡れにはそれほど強くはなく、ほかのカラーのような防水性能はない。その代わり、背面カバーをClassic Orangeに付け替えることで、防水性能を発揮できるようになる。
デザインのポイントについて田窪氏は、「普遍的というのはそぎ落としたもの。すべてをそぎ落としてしまったものではなく、デザインの痕跡が残っている」という点を挙げる。子供や孫の代まで継続して、ペットや長年のパートナーのような存在になれるように、「目指したのは100年ケータイ」(田窪氏)だったそうだ。
富士通では、今期700万台の携帯・スマートフォンの出荷を見込んでおり、来年以降、「日本のシェアをまずはトップに押し上げる」(佐相副社長)計画だ。今年の秋冬モデルでは東芝のREGZA Phoneと並ぶ富士通としてのブランド製品を投入していく予定で、その2本柱でさらに製品を提供し、その後はグローバル市場への展開を図りたい考えだ。