6月24日に日本公開される映画『SUPER 8/スーパーエイト』は、海外ドラマ『LOST』で世界中に一大センセーションを巻き起こした稀代のヒットメーカー、J.J.エイブラムスが監督・脚本担当し、映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグが製作を手掛けた極秘プロジェクト。今年12月公開予定のトム・クルーズ主演作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(原題)ほか、5作品のプロジェクトに関わり、多忙を極めるJ.J.エイブラムスが監督・脚本を引き受けたのは、『M:i:III』(2006年)以来。この事実ひとつ取っても、彼の本作に賭ける意気込みがビシバシ伝わってくるというもの。実際、2人の天才が出会い、奇跡のコラボが実現に至ったいきさつは、映画顔負けにドラマチックだった。

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J.J.エイブラムス「そもそものきっかけは、16歳の時に参加したロサンゼルスの映画祭。僕とマット・リーヴスがロサンゼルス・タイムズ紙に取り上げられてね。記事が載った翌日にスティーブン・スピルバーグのアシスタント、キャサリン・ケネディから電話をもらったんだ。『スティーブン・スピルバーグがあなたたちと同じくらいの年齢の時に撮った8ミリフィルムを直すことに興味はある?』と言われ、もちろん僕らは『とても興味がある』と答えたよ。まもなくして彼が撮ったオリジナル版の2本のフィルム『Firelight』『Escape to Nowhere』が届き、すべてのスプライシング・テープ(フィルムとフィルムを繋ぐための特殊な接着テープ)をはがして貼り直し、フィルムを修復して送り返した。この作業で300ドルのギャラを稼いだことは、最高の思い出だよ」

最初の"遭遇"から6、7年後、映画業界で働いていた若き日のJ.J.は、仕事の打ち合わせで憧れの人であるスピルバーグと初めて直接話す機会を得る。スピルバーグは8ミリフィルムを修復したJ.J.のことを覚えていたという。そして今、J.J.は彼を共同製作者に迎え、映画を完成させた。人の縁の不思議を感じずにはいられない。

J.J.「彼は誰よりもエネルギッシュ。しかも同時にたくさんのことに集中出来るんだ。エゴを振りかざすことなく、何についてでもオープンで快く話を聞いてくれるし、クリエイティヴなアイデアの持ち主でもある。スティーヴンが巨匠と呼ばれる所以はそこにあると思う。彼と一緒に仕事をするのは、無限の発想力を持つクリエイター兼ストーリーテラーとコラボ出来るってことを意味するんだ。この上なく、素晴らしい経験だったよ」 『SUPER 8/スーパーエイト』の撮影は、スピルバーグが製作・監督を務める新作『ウォー・ホース』(原題)と同時期に行われていた。しかし彼は何度も撮影現場に足を運び、J.J.の仕事ぶりを暖かく見守ってくれたそうだ……続きを読む。