――2009年に歌手デビュー40周年を迎えられた串田さんですが、今年は『太陽戦隊サンバルカン』から30周年にあたります。この30年を振り返ってみていかがですか?
串田「アニソン、特撮の世界に入ったきっかけですからね、『太陽戦隊サンバルカン』は。今思うと、やっぱり歌い続けていてよかったと思います。今でも『サンバルカン』を歌っているわけですが、これだけずっと皆さんに歌い継がれているというのは、本当に最高のことだと思いますし、そのおかげで、僕もいろいろな人と出会えました。あの時、『サンバルカン』を歌わなかったら、まったくちがった道を歩んでいたんだろうなと思います」
――串田さんは歌手デビューした頃、イヤで仕方がなかったということですが
串田「デビューするまでは、ライブばっかりやっていたんですよ。お客さんを前にして歌うのがすごく好きで、今でも高いステージより、同じ目線ぐらいで歌えるライブハウスが好きなんですよね。なので、デビューした頃は、テレビで歌うのがすごく嫌だったんです。その頃は、カメラに向かって歌うだけというのがすごく多かった。そして、いわゆる芸能界の感覚というのもあまり好きじゃなかった。自分でバンドを組んで、お客さんが目の前にいて、ライブをやるというのが好きだったんですよ。ただ、アニソンに入ってからは全然違いましたね」
――アニソンを歌い始めてから、そのあたりの環境は変わりましたか?
串田「全然変わりました。最初に『サンバルカン』を歌うときはやはり苦労しましたが、それを歌ったおかげで、ドンドンといろいろなことが変わってきました」
――30年で変わってきたところはどんなところですか?
串田「実は『サンバルカン』などがリアルタイムのころは、デパートの屋上で歌うようなことは少なかったんですよ。そのころもバンドをやっていたので、あまりヒーローショーなどのイベントに出なかった。それもあって、12、3年前、大勢集まってライブハウスでアニソンを歌うことになったときは、すごくビックリしました。いわゆる大きなお友だちが集まってくれて、すごく盛り上がってくれる。『なんだ、この世界は』って。久々にライブハウスの熱い感覚を思い出しました。リアルタイムのころは、当然皆さんも小さかったわけですから、それがこんなにすごいことになって……。それからは子どもたちに聴かせるだけじゃないという意識が生まれましたし、それと同時に、あのころ子どもたちに聴かせた曲は大人が聴いてもおかしくないんだ、というところで、曲のすごさをあらためて感じました」
――串田さん自身の自信にもつながりますか?
串田「そうですね。そして、アニメ・特撮の曲を歌っていて良かったと思うのは、これだけ長く続けられているところですね。普通のポップスだったら、今頃はもう歌うこともないですよ」
――懐メロの範疇に入りますよね
串田「そう。それで終わっていますよね。でもアニメ・特撮の歌は色あせず、いつ聴いても絶対変わらない、そんな魅力があると思います」
――そんな30年の月日を経ての「ガツガツ!!」ですが、曲に取り組む姿勢で変わってきたところはありますか?
串田「この曲もまた、これまでの曲と同じように長生きしてもらうために、とにかく気を遣ってレコーディングをしています。そこで録音された声がそのままずっと残るわけですから。当時、そこまでは考えていなかった。その瞬間、瞬間、どう歌ったらいいのかわからなかった時代のほうが多かったですね」
――アニソンなどは新録よりもオリジナル音源のほうが喜ばれることも多いですからね
串田「そういう意味でも、これから録っていくものに対しては慎重になります。やり直しがきかないわけですから」