なお、東日本大震災の影響による端末調達に関して、山田社長は「大きな影響は出ない」と指摘。一部スマートフォンで部品調達ができなくなったが、代替品を用意して対処。スマートフォン9機種の内、「4機種程度が当初予定より2週間ぐらい販売が遅くなる軽微な影響」との認識で、6月以降は部品枯渇の懸念も解消する見込みだ。
会見では震災におけるドコモネットワークの復旧状況も紹介された。5月13日の段階で福島原発30km圏外の復旧対象307基地局の内、290局のサービスが復旧した。残る17局のうち、11局は山間部やトンネルなどの復旧が難しい場所も5月中に復旧する。残る6局は、道路寸断などで工事が困難だという。こうした復旧は、より遠距離に電波が届く大ゾーン化や衛星回線を使った。
原発30km圏内についても、原発から25km地点にある高さ40mの鉄塔に高性能アンテナを設置、20km圏内で伝送経路変更も行った結果、51局が復旧した。残り17局は復旧が難しいそうだ。しかし、これによって福島原発を含め、原発へのアクセスルート沿線も復旧したことになる。
震災を受けた新たな災害対策として、2011年度は対策費235億円を見込んでおり、10項目の対策を実施する。そのうち、災害時の通信確保のために大ゾーン方式の基地局を全国に設置。東京5カ所、大阪4カ所、その他の道府県には2カ所、計約100カ所設置する予定で、災害時に人口カバー率約35%の通信路を確保する。
都道府県庁・市町村役場などの重要エリアでは、約1,900局に対して基地局の無停電化、バッテリーの24時間化を進め、人口の約65%をカバーする。さらに、すでに発表されているが、音声通話の集中による輻輳を避けるため、音声をファイル化して比較的余裕のあるパケット通信で伝送するサービスを2011年度内に提供予定だ。
こうした対策を進め、山田社長は、「新たな災害対策に鋭意取り組み、災害時でも安心安全を確実に届けるネットワークを構築していく」と話している。