――では、みなさんのおすすめの恐怖シーンを教えて下さい。

仲村「怖いというか、自分の中で不思議だなって思ったのが美術室でのシーンですね」

荒井「わ、被っちゃった!」

仲村「ゴメンね(笑)。演じている時は怖いシーンだと思ってましたけど、出来上がった映像を見ると、月子の感情もすごく強く出ているし、富江も確実に人間ではないけど艶かしくて…精神的にジワジワくるシーンです」

荒井「私は怖いシーンがありすぎですけど、自分の中で印象に残っているのは、二人の富江と首ナシの富江(多田愛佳)に三方向から迫られるシーンですね」

井口「あれは僕がどうしてもやりたかったんですよ(笑)」

荒井「映像で見るよりかなり近くまで寄ってきているんですよ。本気で逃げようとしてたし、本気で怖かったです」

井口「富江がロッカーから出て来るところなんか、僕でも嫌ですよ」

荒井「リハーサルの時から何回やっても怖かったですね」

仲村「私はそれを端から見ながら『絶対、月子役は嫌だ…』って思ってました(笑)」

井口昇監督

――終盤、富江が増殖して怒涛のように月子に襲いかかるシーンでは、古今東西の名作ホラー映画への監督のオマージュを感じました

井口「確かにいろいろな要素は入ってますよね。僕的にオモチャ箱みたいにしたかったというのはありますし、なによりヒロインがいろいろな富江に囲まれる、というシーンを撮りたかったんです。富江ってホラーの中でも珍しいキャラクターで、人を直接殺さず周りがどんどん勝手に死んでいくんですよ。ですから彼女としてはひたすら近寄るしなかい(笑)。そんな面白さを表現したかったんです」

――監督をはじめ、キャストも引き込まれてしまう富江の持つパワーとはいったい何でしょう?

井口「やっぱり人はミステリアスな女性に惹かれますよね。そして、一度死んで蘇るという設定の強さ。さらにそこに答がないというのが恐怖に結びついているのではないかと思います。今回の作品の中でもあえて答を出していませんし、男性が見た場合と女性が見た場合では、富江の見え方も違うと思うんです。僕としては見る人がいろいろな解釈をしてくれるのが一番嬉しいです」

――それでは最後に、みなさんにとって富江以外に怖いモノは何ですか。

仲村「私、そんなに怖いモノってないんですよね…虫とかも全然平気ですし。小さい頃、毛虫を段ボールに集めてイジメっ子に仕返ししようと思っていたら、いつの間にか全部逃げて家中が毛虫だらけになってお母さんとお婆ちゃんに怒られたことがあります(笑)」

井口「それはすごいなぁ~」

仲村「ですから『怖いモノがまったくないこと』が逆に怖いですね」

荒井「私は…父です。優しい時はすごく優しいんですけど、怒るとすごく怖いんですよ。ですからキレないよう常にソフトに扱わないといけないんです(笑)」

井口「僕は2つあって、虫って、こちらが触ろうとすると突然バタバタ動き出すじゃないですか。ジッとしてると思ったら急にこっちに飛んできたり。あの予測不能な動きが怖いです。もう一つはやっぱりこのご時世、仕事が無くなることが一番怖いですね(しみじみ)」

仲村・荒井「確かにそれは怖いです(笑)!!」

これまでのシリーズに比べ、原作に最も近いと評価されている本作。ここはひとつ、連鎖する富江の恐怖をジェットコースター感覚でスリリングに楽しんではいかがだろう。『富江 アンリミテッド』は新宿バルト9ほかで全国ロードショー中。