――キャセイパシフィック航空は、国際的なエアライン賞を多く受賞していますね。
「私が入社してからすぐにエア・ライン・オブ・ザ・イヤーを受賞(航空業界の有力月刊誌エアー・トランスポート・ワールドが選ぶ『2006年度エアライン・オブ・ザ・イヤー』を受賞)したので、お客様の"目線"や"期待"が相当高くなり、少しびっくりした部分もあります(笑)。
受賞したクルーが直接の先輩ということになり、そうした人たちの背中を見ながらやっています。毎回違うチームでのフライトですが、本当にチームワークがよく、クルー同士もお互い思いやりをもって業務をしているといった感じです。
トレーニングもしっかりしていて、フライトに関しても事前にチーフからきっちりブリーフィングがあります。また、それを各セクションでもきっちり話し合ってからフライトに望みますので、ある意味フライト前からとても緊張感はありますね」
――サービススローガンとして掲げている「Service Straight From the Heart(心からのおもてなし)」について教えてください。
「この『Service Straight From the Heart』というスローガンは、入社時のトレーニングから現在まで、常に言われ続けているフレーズです。
言葉としては皆わかっていますが、『では自分がどうするか』という部分で『自分のなかでこうするから"Service Straight From the Heart"だ』という、それぞれ違うこだわりがあると思います。でも、このフレーズが核となりみんながサービスをしているので"ぶれない"のではないでしょうか」
――有元さんの場合、このスローガンを実践するために何を心がけていますか?
「私の場合は、お客様を家族や友だちだと思って接するようにしていますね。『自分は何ができるのか』という部分を常に考えて、お客様が何を欲しているのかというのを察し、うまく先回りしてサービスができるように心がけています。
ただ、路線によっても求められるサービスというのは本当に違うんです。日本線だと"先回りして気持ちをくむ"そして"丁寧"というのは非常に喜ばれる部分ですが、例えばインド線の場合は"丁寧"はもちろんいいのですが、"スピード感"も重要になってきます。自分が先回りするより先に、お客様が要望をおっしゃる場合も多く、それに如何に早く対応できるか、と。
経験を積んでいき、この路線ならばこういう対応を、ということを自分で少しずつ調節していくのは非常に大切なことだと思っています」
――「Service Straight From the Heart」にまつわるお客様とのエピソードはありますか?
「よく他の航空会社さんですとお誕生日にバースデーカードを、といったことがあるんですが……私は、歌を歌ったことがあります(笑)。しかも、お客様から指名されたんですよ! 理由は『あなたが楽しそうだから』。チーフからも『じゃあ歌って来て』と言われて…。 お客様のリストにのっているイベントもそうですが、お客様が会話のなかでふと口に出した情報をひろって、みんなで何かをしていくというのはキャセイはすごく得意だと思います」
――フレキシブルに対応されるんですね。
「そう、鞄のなかにいつもラッピング用紙やシールを入れていたり。機内にバースデーカードの用意はあるのですが、それを如何にきれいにデコレートしていくかなども考えますね。一緒に乗っているクルーに聞くと、必ず誰かが持ってるんですよ。それは別に会社で決められているわけではないですけれど」
――そう聞くと、誕生日に乗りたくなります(笑)!
「この間もカードを書いたあと、チーフがプレゼントになりそうなものを探して! と、みんなで色々とかき集めたりしました(笑)。基本的に、香港の人は楽しいことやお祭りごとが大好きなので、その風潮を受けてかなとも思います」……CAがオススメする香港の観光スポット