今回、EP121を試用できたのは1週間程度。ざっと使ってみての感想になるが、以下にまとめてみたい。
モバイル性は?
持ち運びの際の重要なファクタは重量であるが、本機の重さは約1.1kg。スレート端末はiPadにしてもそうだが、「持ってみたら意外と重い」と感じる場合が多い。だがこの1.1kgというのは正直重い。専用ケース装着時には実測で1.5kgを超えてしまい、両手で持っていてもかなり疲れる。通勤時に電車の中で立って見るようなことは、よほどのマッチョでもなければオススメしない。
バッテリ持続時間は公称で約3.5時間。実際に、無線LANをオンにしてネットワーク上の動画ファイルを再生してみたが、デフォルトの設定でも2時間半ほどは使うことができた。ディスプレイの輝度を落とすなど、省電力向けの設定にすればもう少し伸びるはずなので、この数値はまぁ妥当なところだろう。ちなみにHD動画でもコマ落ちするようなことはなく、CPU使用率も大体10%台だった。
使い勝手は?
操作のインタフェースは、Windows 7で標準搭載されている「Windowsタッチ」を利用することになる。そのためUI自体はほかのWindowsスレートと同様となるが、性能が高いEP121では操作もきびきびとしており、もたつきに起因するストレスはあまり感じないだろう。ただ、Windows 7はもともとタッチ操作を前提に作られたOSではないので、まだ使い勝手の面では課題もある。そのあたりは次期Windowsでの改善を期待したいところだ。
Windowsタッチでは標準搭載の手書きメモソフト「Windows Journal」などが利用できるが、本機ではそのほか、お絵かきソフト「ArtRage」がプリインストール。タッチ操作では画面をなぞった場所にそのまま色が塗られるので、本当に絵を描いている感覚が楽しめる。うちの4歳の息子は勝手にPCの使い方を覚えてしまい、普段もマウスを使って落書きをしているのだが、このタッチ操作が面白かったようで大ウケだった。
イーフロンティアの「ArtRage」は、リアルな表現が可能なお絵かきソフト。画面上で絵の具が混ざったりする |
ASUSのオリジナルソフト「vibe」では、音楽・ゲーム・電子書籍などのコンテンツが楽しめる |
どういう人向けか
スレート市場は昨年のiPadで火が付き、Android機やWindows機も続々と登場しそうな勢いだ。それぞれに特徴や利点があるのだが、EP121の場合はWindowsスレートになるので、Windowsのソフトウェア資産が利用できる、という点がポイントになる。普段からWindowsをメインに使っている人であれば、それほど違和感なく使い始めることができるだろう。また豊富なUSB周辺機器が使えるのもメリットだ。
■スレート端末のスペック比較例 | |||
モデル | Eee Slate | iPad(Wi-Fi) | Optimus Pad |
---|---|---|---|
メーカー | ASUS | アップル | LG Electronics |
OS | Windows 7 | iOS | Android 3.0 |
CPU | Intel Core i5 | Apple A4 | NVIDIA Tegra 2 |
画面サイズ | 12.1型ワイド | 9.7インチ | 8.9インチ |
画面解像度 | 1280×800 | 1024×768 | 1280×768 |
重量 | 1.1kg | 680g | 約620g |
バッテリ駆動 | 約3.5時間 | 最長10時間 | 不明 |
販売価格 | 99800円 | 35800円~ | 8万円前後 |
Windowsスレートの中で考えれば、EP121の特徴はパフォーマンスの高さであると言える。とは言え超低電圧版のCore i5であるので、ノートPCとして見れば決してハイエンドというわけでもないのだが、ほかのWindowsスレートが搭載しているAtomに比べれば体感速度の違いは歴然だ。
以上を総合すると、「Windows環境を利用したいがAtomの性能では物足りない」といった層あたりにミートしそうだということが見えてくる。モバイル性の低さはそれとのトレードオフになるので、そういった割り切った使い方ができるかどうかが選択のポイントになるだろう。またノートPCの代用にもなり得るから、買い換え時に「どうせならスレートも試してみたい」という人にもオススメだ。