――チョッパーのメガネはどんなイメージでデザインされたのですか?

北垣内 初めはDr.クレハのような丸メガネをイメージしていました。ただ早い時点でチョッパーのメガネはキッズ用になると決まり、「丸メガネだと子供に受けないかも……」ということで、最終的にオーバル型(楕円形)になりました。

香川 企画の特性や販売上のバランスも考慮しながら、基本的に男性キャラクターのメガネは男性用、女性キャラクターは女性用、そしてチョッパーはキッズ用にしたという経緯があります。

「ファン目線に立ったデザイン」が大ヒットの要因に

――他のキャラクターに関しても、原画をもとに、イメージを広げてデザインしていったのでしょうか?

「ファンの方々に、『このメガネはキャラクターのイメージと違う』と言われないように、色も形も原作のイメージに忠実にデザインすることを心がけました」(北垣内氏)

北垣内 そうですね。ただ、中には原画に忠実なものもあります。ウソップのモデルもそうで、扉絵のイラストを、色もそのままに再現しました。ゾロやサンジ、フランキーのモデルはイメージを膨らませてデザインしています。フランキーの場合は髪の色にちなんで、サングラスのフレームにも水色を使いました。サンジのモデルでは、青系のジャケットやシャツを着ているイメージが強かったので、フレームの色もそれに合わせてみました。

――ブルックのモデルでは、「生前かけていたサングラスをそのまま形に」いうことでしたが、これもよく見つけましたよね。

香川 ブルックのモデルに関しては、ツイッターでも、「生前かけてたか?」とツッコミが入ったりもしました。これもトリッキーな手法ですよね。でも一方で、「ブルックのモデルが欲しい」という問い合わせもたくさんいただきました。

――シリーズ第1弾は、2月末までに約15万8,000本を売り上げるヒット商品に。中でも異例の売れ行きを示したモデルはありますか?

「『ワンピース』は男女を問わず人気がありますし、下は10代から上は50代男性まで、世代も幅広くカバーしています。コラボメガネ&サングラスは老若男女問わず訴求できると思いました」(香川氏)

香川 通常のメガネやサングラスだと、フランキーモデルのような派手な色はなかなか売れないんですよ。ナミのモデルで使ったオレンジも、過去の経験上、他のカラーと比べて売れ行きが伸びないのではないかと言われていました。でも蓋を開けてみると、両モデルともすぐに在庫がなくなるほどの売れ行きだったんです。

――「売れない」と言われたカラーをあえて採用するあたり、JINSの「業界の常識を覆す」という考えに通じるものを感じます。

香川 たしかに業界の常識だと、「この色が売れるから、この色を中心にデザインしよう」という話になったかもしれません。でもそれはファン目線に立ったデザインとは言えませんよね。ファンの楽しみを奪ってしまうことにもなりかねません。その点では、「キャラクターのイメージを大事にしながらデザインする」という北垣内のアプローチは正しかったですし、それがちゃんとファンの方々にも伝わったと自負しています。

――第1弾の発表後、具体的にはどんな反響が寄せられたのでしょうか?

香川 先行予約の段階から驚きの声が多かった、というのが強く印象に残っています。「『ワンピース』のキャラクターって、メガネかけてましたっけ?」といった感じで。余談ですが、東映アニメーションの方々と打ち合わせした時には、メガネをかけたルフィのイメージイラストに、「新鮮ですよね!」「このルフィはいいですよね!」と盛り上がったんです。おそらくファンの皆さんも、いい意味での驚きをもって迎えてくれたのではないでしょうか。

シリーズ第2弾は、「各キャラの新イメージを打ち出せたら」

――3月19日には、映画『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』の公開に合わせて、シリーズ第2弾も発売されています。

映画『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』の公開に合わせて、シリーズ第2弾として「ルフィ」「ゾロ」「サンジ」「ナミ」「チョッパー」の5モデルが限定カラーで登場した

香川 シリーズ第1弾の流れを踏まえつつ、再びファンの方々に楽しんでいただければと思い、今回は「限定カラー」として立ち上げました。メインキャラクターのルフィ、ゾロ、ナミ、サンジ、チョッパーの5モデルで、ファッション性を高めたツートンカラーのメガネとサングラスを展開し、プラスアルファの楽しみをファンに提供したいと思いました。

北垣内 第1弾がベーシックなカラーリングだったのに対し、第2弾では2色にすることで、各キャラクターの新たなイメージを打ち出せたらと思っていました。チョッパーのモデルは、マットブラウンとサーモンピンクで「ヒルルクの桜」を表現しています。ゾロのモデルも、前回はテンプルの部分を透明にしていましたが、第2弾ではマットカーキにして、より男らしさを出してみました。サンジのモデルでは、彼の髪の色にちなんだクリアイエローをベースにしました。前回のサンジモデルでは使っていなかった色なので、新しいカラーバリエーションを楽しめるのではないかと思っています。

――ルフィのモデルではネイビーを使用していますよね。

北垣内 第2弾のカラーを決める際にはいろいろ悩んだのですが、ルフィといえば青いパンツを履いていますよね! それがカラーを決める時の、ベースのアイデアとなりました。

――ナミのモデルは髪の色がベース?

北垣内 と言うよりは、ナミのイラストやキャラクターを考えたときに、ナミが着ている服などの全体のイメージからこのカラー(ボルドー×マットレッド)を抽出しました。ちなみに、第2弾の中でもキャラクターのイメージが強く出ていると思うのはチョッパーとゾロ。とくにチョッパーは、帽子のピンクや角のブラウンも入ってのこのカラーになっています。