「IllustStudio」と「Cintiq 21UX」を使ったライブペインティング
会場のスクリーンに映し出されたイラストは、4月にビー・エヌ・エヌ新社から出版予定の『Let's Make ★ Character CGイラストテクニック vol.5』(2,520円)に掲載予定の作品だ。加藤氏はまず、グラフィックソフト「IllustStudio」を使ってラフスケッチを始めた。ここで使用するツールは、荒い線が引ける鉛筆。普通のペンを使うと線がツルッとしてしまうので、あえて線がかすれる鉛筆を使うそうだ。
IllustStudioの利点として挙げたのは、レイヤーなどで文字入力をするときに、自動で全角入力に切り替わるという点。わざわざ「全角/半角キー」を押す必要がないので、とても便利そうだ。加藤氏は解説しながら手を休めずに描き続け、大まかなラフを描き上げた。加藤氏はいつも、この程度のラフができた段階で担当編集者に渡してチェックを受けると言う。
続いて、明度を上げたラフを下絵に使い、その上にレイヤーを作って細かな部分まで描き込んでいく。ここで加藤氏が紹介したツールは「定規レイヤー」。これは、フリーハンドで直線を描くための機能で、消失点を設定すると遠近法の正しいガイドを作ってくれる。初めにしっかりとしたガイドを作っておけば、クルマやメカなどを描くときに発生しやすい線のズレを抑えられるのだ。加藤氏は定規レイヤーを使ってクルマがすっぽり入る大きさのボックスを作り、このなかにクルマを描いた。さらに、定規レイヤーは背景にも効果的。加藤氏はペンタブレットをサッサッと動かし、壁と地面にレンガとタイルを敷き詰めていた。
とても便利な定規レイヤー機能だが、加藤氏はひとつだけ注意点を述べた。「定規レイヤーで描いた線はまっすぐで、イラストが味気なくなってしまう。なので、わざと線がブレるように、後で手描きで修正を加える」と、イラストを暖かく見せるためのテクニックを紹介した。