使用するPCによってはやや表示が遅くなる
PCと外部ディスプレイ/テレビをHDMIケーブルやDVIケーブルで接続した場合と比べて、ワイヤレスHDMIキットで接続した場合は若干の表示遅延が見られた。PCアダプターを接続したPCのスペックや表示解像度によって異なるのだが、前述の推奨スペック以上のPCならば、操作に不具合をきたしたり、ストレスになるほどの表示遅延は感じないだろう。
動画再生に関しては、クローンデスクトップモードと拡張デスクトップモードで試してみた。画面の解像度が1,920×1,080ドットの場合、表示モードによる差はほとんどなかった。ただし、1,920×1,080ドット(フルHD)の動画をクローンデスクトップモードでフルスクリーン再生したところ、カメラがパンするシーンなどで多少のコマ落ちが発生した。
フルHD動画のコマ落ちに関しては、今回の検証に使用したデスクトップPCのマシンパワーが少し低かった影響も考えられる。スペックを簡単に述べておくと、CPUがAMD Athlon II X2 250(3GHz)、メモリが4GB、グラフィックスがATI Radeon HD 4200(AMD 785Gチップセット内蔵)、OSがWindows 7 Home Premium 32bit版の自作マシンだ。ちなみに、画面の解像度を1,680×1,050ドットに落とすと、見た目の限りはコマ落ちがまったく気にならなくなった。
動きの激しいゲームに関しては、ワイヤレスHDMIキットを使った環境だとちょっと厳しそうだ。PCと外部ディスプレイ/テレビをHDMIケーブルやDVIケーブルで直結した場合と比較して、どうしてもFPSが落ちてしまう。PCのマシンパワーも関係してくるが、今回試した限りでは、ゲームの表示解像度やグラフィック品質を低くしても、HDMI/DVIケーブル接続と同等のFPSは得られなかった。
なお、マニュアルには動画再生時に音と映像がずれる場合の対処法が書かれており、PCの電源管理をパフォーマンス寄りに設定すると改善されるようだ。今回は音ずれを確認できなかったが、Windows 7の場合は「バランス」か「高パフォーマンス」、Windows XPの場合は「常にオン」と指示されている。
ノートPCの使い方を広げる便利アイテム
ワイヤレスHDMIキットの利点は、PCの画面を無線で手軽に外部ディスプレイ/テレビへ出力できることだ。転送速度や遅延の関係でアクション系のゲームを快適にプレイするのは厳しいが、動画再生、Webブラウズ、各種のアプリケーションといった用途では、操作のレスポンスや表示の遅延はほとんど気にならない。Webブラウズやアプリケーションなら、多少はスペックの低いPCでも問題なく使えるだろう。
また、ワイヤレスHDMIキットは、やはりノートPCに向いている。ノートPCを手元で操作しながら、インターネットの動画などをリビングの大画面テレビで表示するのは使い勝手がいい。デスクトップPCでも使用可能だが、本体の設置場所、キーボードとマウスの操作という問題がある。デスクトップPCの場合は、大画面テレビの近くに置いてHDMI/DVIケーブルで直結するか、専用の小型デスクトップPCを別途用意するほうが快適だろう。
■試用機の主な仕様 | |
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製品名 | ワイヤレスHDMIキット |
型番 | EZR601FHD |
インタフェース | PCアダプター : USB 2.0、フルHDアダプター : HDMI 1.3、オーディオジャック、S/PDIF |
無線通信方式 | Certified Wireless USB 1.0準拠 |
暗号化方式 | 128bit AES |
通信距離 | 最大10m(見通し) |
対応解像度 | 最大1,920×1,080ドット(フルHD対応) |
対応OS | Windows XP/Vista/7 |
サイズ | PCアダプター : W21×D33×H54mm、フルHDアダプター : W91×D76×H81mm |
主な付属品 | HDMIケーブル、S/PDIFケーブル、インストールCD、保証書、クイックスタートガイド |
店頭予想価格 | 18,000円前後 |