商品名「Thumb Touch」に見える「野心」
FKB7628は、商品愛称として「Thumb Touch」という名前が付いた。これは本商品のみを指すというよりも、親指シフト製品の新しいブランド名だと思われる。新しい名前をつけたことに「新しい日本語入力方式として再生させよう」という意気込みを感じる。既存の親指シフトユーザーには「これからも新ブランドで頑張る」という安心感を与え、新規ユーザーにも、右手用キーと左手用キーの色を変えているほか、その他の機能キーには別の色を割り当て、分かりやすさをアピールしている。
親指シフトが誕生した背景は文書の電算化、つまり、紙の文書をワープロで清書する場合の生産性向上だった。しかし現代は、思考しながらキーを叩くという使い方が一般的だ。そのため、文字入力の速度がトップクラスの親指シフトは、「文書作成のプロ用システム」というポジションにある。だから今後も業務用として一定数の人気は保ち続けるだろう。また、シェアの急激な拡大はなくても、「究極の日本語環境へ移行したい」という人々はいるはずだ。FKB7628の販売価格は1万6,000円前後で、JISキーボードに比べれば高価とはいえ、NICOLA配列キーボードの中では安い。しかもギアリング構造を考慮すれば、リーズナブルな価格といえなくもない。親指シフトのエントリー機としても注目すべきキーボードだ。
携行型で他のPCとの接続に考慮、というコンセプトは良い。今後はそのコンセプトをさらに進めて、携帯モバイル端末にも接続できるBluetooth対応モデルを出してほしい。
注意点だが、FKB7628を使用するには、専用の日本語入力システムとして富士通製の「Japanist 2003」が必要で、さらに2010年7月23日版のアップデータをインストールしておかなければならない。この「Japanist 2003」はWindowsに対応するものの、現在は32ビット版のみサポートとなっている。今後の親指シフト市場や製品投入にとって64bit版の開発が急務であり、おそらく進められてはいるだろうけれど、早めの情報公開を望みたい。
なお、有志作成の親指シフトエミュレータ「やまぶき」などには64bit環境に対応するものがあり、FKB7628でも使用できる。この場合、FKB7628をJISキーボードとしてWindowsにインストールした上で、親指シフトエミュレーションを行うという、ちょっとややこしい使い方になる。しかし、ATOKやGoogle日本語入力など、お気に入りのIMEがそのまま使える点がメリットだ。
■試用機の主な仕様 | |
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製品名 | 親指シフトキーボード「Thumb Touch」 |
型番 | FKB7628 |
色 | 白 |
キー数 | 親指シフト配列87キー(Windowsキー、アプリケーションキー付) |
キー仕様 | 3.0mmストローク、押下圧(入力荷重)約55g、キーピッチ19.05mm |
インタフェース | USB 1.1 |
サイズ/重量 | W318×D158×H18mm / 約360g |
対応環境 | Windows XP/Vista/7、日本語入力ユーティリティ「Japanist 2003」(別売) |
店頭予想価格 | 15,540円前後 |