Googleによれば、HoneycombはAndroidとして初のマルチコアプロセッサへの最適化が行われたプラットフォームであり、DalvikなどのJVMが対称マルチプロセッシング動作に対応している。用途としては複数アプリのマルチタスク処理のほか、例えばDalvikがガベージコレクション(GC)処理に入ったとしても、残りのコアで処理を止めずにアプリを実行するといったことが可能になる。また「マルチコア」とうたっているように、「デュアルコア以上」での動作も想定していることだ。Honeycomb SDKが公開された同日、日本ではソニーが「NGP」という次世代携帯ゲーム機を発表したが、このメインプロセッサがARM Cortex-A9の4コアを搭載したことが話題になった。もしNGPがAndroidをベースとするのなら、このHoneycomb以降の世代がターゲットとなるのかもしれない。

NGPの件は除外したとしても、タブレットはとかくパワーリソース食いであることには変わりない。最大の問題は画面サイズで、単純計算でスマートフォン時代の3倍の広さの画面を処理しなければならず、それだけ処理パワーが必要になる。今回プレビューで公開されたHoneycombのエミュレータを動かしてまず驚いたのが、その動作の異様な遅さだ。Googleでは「最終版改良前の段階」との前置きをしつつも、開発者らが同SDKとエミュレータを使ってアプリのテストをする際に「辛抱強く待ってほしい」との異例の注意書きを出している。Android系のフォーラムでも、このエミュレータの重さについては話題になっているようだ

筆者がテストに使ったマシンはIntel Core i7の最上位モデルと高速だが、Javaランタイム上でシングルタスク動作するエミュレータの動作をカバーするのはそれでも厳しい。AVDのメモリを1GBにアップしたり(デフォルトは256MB)したものの、途中で動作が緩慢になったり、ブラウザなどのアプリがすぐにハングアップしてしまう。Gingerbread以前のAVDではそれほど極端には遅くならないため、それだけHoneycomb世代の要求スペックが高いといえるだろう。デュアルコアに限らず、今後はより高クロックでコア数の多いプロセッサを搭載したAndroidタブレットが登場することになるのかもしれない。また、当面はローエンドなHoneycombタブレットは登場せず、製品ラインナップがハイエンド側に偏ることになりそうだ。